年始早々はじまる世界最大のエレクトロニクスショーCES2017の視察のためアメリカ・ラスベガスへ来た。
アメリカで開催のこのエレクトロニクスショーは、毎年1月5日前後から始まる。
2017年は1月5日〜8日の会期で開催される。そして、その前哨戦としてプレスデーが用意されており、オープニングセレモニーやカンファレンスが開催される。
今回筆者はプレスデーから視察のため、1月3日からここ、ラスベガスへ来たというわけである。
「アメリカ人が正月早々働くのか」と私は意外に思うのだが、アメリカのお正月休みは1月1日だけで、普通に2日から働くらしい。
しかしカンファレンスが8時から始まるなど、やはり意外にも勤勉なところもあるようだ。
今回アメリカ視察の面白いところはやはり「トランプショック」が実際の現場ではどんな感じなのか?
それがCESにも影響を及ぼすと思うが、本当に好景気に沸いているのか?
内需拡大路線はアメリカの総意なのか?といったことを含め、アメリカを感じてきたいと思う。
話をCESに戻すと、CESは今年が50周年と記念の年である。
コンシューマーエレクトロニクスショーと言っているが、その姿は50年の歴史の中で時代と共に変化し、昨今では家電製品やギークなテクノロジーが並ぶ展示会ではなく(もちろんそういう製品もたくさんあるが・・・)自動車産業や医療産業、ヘルスケア、フィットネスなど様々分野の企業が、先進テクノロジーについて語る場となった。
最新テクノロジーを使った製品やサービス、連携をIoTやスマート○○、コネクティッド○○といった文脈にのせ、未来のビジョンを提示することで、各業界を先導するポジションを確立しようとしているのである。
この技術ドリブンな流れを見ながら、さまざまな業界、分野で語られている点と点を繋ぐことで、これからのライフスタイルにおける未来予測をしようというのが、今回の視察の趣旨である。
まだショー自体は始まっていないが、少しずつ今年のトレンドが見えつつある。
少しだけ所感としてお伝えしておこうと思う。
ひとつは、昨年から引き続き“音声入力”への注目が高い。アメリカ人には向いているものの、我々日本人には、あまりおしゃべりで操作というのがなじまない部分も多分にあるが、アメリカ人には好評で、既に定着しつつあるようだ。
たしかに操作について考えると、タッチパネルより、ジェスチャー入力より、応用範囲が広いことは事実である。
音声入力の裏側にはAIの進化が大きく関与しており、いかに普通に会話しているかのようなコミュニケーションのあり方が音声入力なのである。
そういう視点で見るとUIに注目する日本は、世界から見るとガラパゴスなのかもしれない。UIより存在を感じさせないことが重要なのかもしれない。
もう一つはやはりAIである。自動運転にも、スマートホームにも必ずAIの活用が不可欠となっている。
ただ今年の特色はAIの在り方が今までとは少し違っている感じがする。
今までの完璧なAI、万能なAIから、小さなAIがいろいろなところに偏在し、身を隠しながら、いつのまにかイネーブルする(有効化する、つなぎ役となる)存在となることへ向かっている節が見られる。
これらの断片から、なんとなく今までのテクノロジードリブンで未来感押しという雰囲気から、テクノロジーの存在を消し、人間にその存在を感じさせないほど自然に人間に寄り添うテクノロジーの姿が見えてきた感じがした。
これからの視察でそれらを検証しつつ、未来のライフスタイルを描ければと思う。
(文責:兵頭)