トリニティ株式会社

“強い”事業アイディアを生み出すための先行事例・競合調査 /「ビジネスに価値を創出する、”デザインリサーチ”活用ガイド」第3回

公開:2022年03月30日 更新:2022年03月30日

デザインリサーチガイド第3回では、第2回に引き続き、
新規商品・サービス開発を始める際に役立つリサーチをご案内します。
今回は、「先行事例・競合調査編」です。

“強い”アイディアとは、競争に打ち勝つアイディアのことであり、競合との比較のうえで評価されるものです。
既存の製品・サービスやビジネスモデルの構造を分析することや、業界の大きな動向の把握、他社製品の価値や運用の洗い出しは、そのまま戦略決定のガイドラインとなることはもとより、アイディア発想のための足掛かりともなります。
しかし、従来の調査手法だけでは、画一的な情報しか集められません。

 

デザインリサーチでは、特に“インサイト*”に着目し、情報の収集、分析を行っていくことに特徴があります。

※インサイト(insight)とは、マーケティング用語で、ユーザの行動の裏にある隠れた動機のことです。市場の飽和し始めた90年代ごろから、新しい価値を生み出し、競争力を高める手法の一つとして注目されてきました。

「今何が流行っているのか」という現状だけでなく、
なぜ、どうして“ひと”がそのサービスや製品を受容するのか、隠れた動機や期待まで洞察を深めることで、
現状の先にある、未来において自社が提供すべき“価値”の考察につなげることができます。

“強い”事業アイディアを生み出すための先行事例・競合調査 デザインリサーチのタイプ

Type B-1 「先行事例分析」とは?

最新の製品・サービス、ビジネスモデルを読み解き、アイディア創出のヒントを得る

活用シーン 

 

  • 最近注目されている製品・サービスの類似事例を知り、開発の起点となる課題や提供価値を見定めたい
  • 最近のビジネスモデルを分析し、自社の開発に活かしたい
  • 自社が狙う市場の競合に優位性ある商品を考えたい

活用のポイント  価値を生み出す構造を読み解き、開発に活かす

 

狙いたい新たな領域で、先行している製品・サービスから、新たな価値創出を行っている特徴的な事例をグローバルにピックアップして分析します。
昨今は、レジリエンスやウェルビーイング、サブスクリプションなど従来のインダスリーを横断した新たなビジネスカテゴリーや切り口、そしてB2B,B2Cモデルも変容しています。

 

戦略立案においては、最新のモデルを集めて羅列するだけではなく、集めた資料から導き出される戦略やアプローチのポイント、今後の方向性までを読み解くことで、自社での立案のガイドラインとして活用することができます。
事例収集では、WEB上でオープンになっている情報を収集しますが、リサーチャーの経験や言語スキル、収集の感性が成果に直結します。トリニティでは年間を通じて実施しているトレンド調査の知見を活かし、意味のある事例をピックアップします。また、海外でのデスク調査を推進しており、現地語での調査にとどまらず、現地の文化やトレンドをよく知るリサーチャーやデザイナーの視点を通してローカルの生きた情報を収集・分析しています。

実施事例

 

  • グローバルビジネスモデル先行事例分析からアイデア創出ワークショップおよびビジネスモデル検証ツール制作まで(総合家電メーカー)
  • インドビジネス マンスリーレポート(マルチクライアント)
  • コミュニケーションサービス マンスリーレポート(通信会社)
  • 高齢者向けIoTアクセシビリティ事例調査(総合家電メーカー)
  • 欧州エコ素材活用事例調査(研究機関ほか)

SAMPLE 業界・市場の変化を事例から読み解くデスクリサーチ 例

 

「新型コロナへの世界の企業・組織のアクション事例と
社会に起こりつつある変化の読み解き」

 

トリニティでは、日本で初めて緊急事態宣言が発行された直後の2020年4月6日に、緊急レポートとして、新型コロナ関連の企業の対応事例を世界で収集し、読み解いたレポートを発表。全文を無料で公開しています(日経XTREND掲載)。

 

●ダウンロードはこちらから》コロナ禍における取り組み事例からの読み解き レポートDLフォーム

Type B-2 「顧客視点の競合調査」とは?

先行事例が持っているノウハウをつかみ、事業の実行計画をブラッシュアップする

活用シーン 


  • 他社製品・サービスが、ユーザに受け入れられている理由を知りたい
  • 新たに参入する事業や、類似事業の先行事例の運用実態から、“うまくいく方法”を参照したい

活用のポイント

 

競合調査は、マクロ視点とミクロ視点の双方の視点が必要です。
財務諸表やIR資料、ニュースから読み解くマクロな像に加え、ひとを起点としたミクロな視点では、なぜそのサービス・製品が成功しているのかの仕掛けを読み解きます。そしてこのミクロな視点こそが事業の成否をわかつポイントでもあります。

 

事業の実行にあたっては、様々なディティルの設計と運用が必要ですが、自社にとって新たな事業であればあるほど、その設計は困難になります。しかし、成功している類似ビジネスは、すでにユーザのインサイトをつかみ、実行に移されています。その事例の詳細な設計を紐解き、参照することで、リアリティがあり確度の高いプランニングが可能になります。
例えば、パーソナライズサービスを新たに始める場合では、実際にパーソナライズサービスを実施している異業種が、実際にどのように人員を配置し、どのように人材を教育しているのか、またユーザにどのようなコンタクト行っているのかに至るまでの様々なポイントでの工夫を参照することができます。

 

トリニティのリサーチでは、IRや財務諸表をもとにした社会経済視点でのレポートに加え、ひとの視点で現場の仕掛けを明らかにするため、対象サービスの観測調査や、ユーザインタビューを行い、他社事例が成功しているポイントを、実態に基づき整理、レポーティングすることで、成功確度の高い詳細計画につながります。

実施事例

 

  • 他社事例運用実態とユーザインサイト調査(総合電機メーカー)

先行事例・競合調査としてのデザインリサーチ まとめ

デザインリサーチでは、意味のある事例を蒐集し、“ひと”の視点で事例を読み解くことで、自社が活用できる知恵にまで昇華します。
しかし、事例は複合的な要素の集合であり、どの事例を取り上げ、どう分解し、読み解くかのセンスも問われます。
トリニティのデザインリサーチでは、世界各国のデザインリサーチャー・専門家と連携し、複数の視点で読み解くことで
事例収集にとどまらず、参考にできるポイントの抽出までをアシストします。

 

“強い”事業アイディアを生み出すための先行事例・競合調査 デザインリサーチのタイプ

第4回「新たなマーケットにビジネス展開するためのマーケット構造調査」につづく

*トリニティのコンポジット・デザインリサーチ

「コンポジット」とは、複数の要素を組み合わせたもの。トリニティでは、デザインリサーチ×マーケットリサーチ×ビジュアライズの複合でグローバルにリサーチを推進。“ビジネスをデザイン(設計・実行)“するための“リサーチ”として、コンポジット・デザインリサーチの概念を提唱しています。

ビジネスでは、課題を発見しその解決を行うことが求められます。ここにおいて調査の役割は、「どんな状況で、どのような人が、どんな理由で、どんな行動をしているのか」を捉えること、そこから「ビジネスチャンス」を把握することだといえます。

特にデザインリサーチは、文化や価値観、感情、困りごとなど、あらゆる意味での「質」にかかわる情報を主に取得するものといえ、「未発見のビジネスチャンス」にまでリーチします。しかし、デザインリサーチの中にも様々な手法が存在し、ビジネスの段階や目的・規模によって、使い分けることが必要です。

また、デザインリサーチ手法に加え、「量」で情報を把握するマーケットリサーチを掛け合わせ、さらに有識者による一歩踏み込んだ読み解きを行うことで、数字を眺めるだけでは見えづらい事実をとらえることができます。

そして、読み解きの結果をチームや組織、アライアンス間で共有することは、「何をこれから目指すべきか」の議論のベースを創るうえで欠かせません。トリニティではデザインリサーチとマーケットリサーチを掛け合わせて取得した事実を読み解き、ビジュアル豊かに理解し共感できる資料としてまとめ上げ、「ビジネスの文脈で活用できる資料」の作成を行っています。

ビジネスに価値を創出する、”デザインリサーチ”活用ガイド シリーズ記事一覧

文責

中森志穂

トリニティ株式会社 デザインリサーチャー
東京大学 学術専門職員

筑波大学大学院 人間総合科学感性認知脳科学専攻 博士課程 単位取得満期退学(2011年)。
筑波大学在学中に日本学術振興会特別研究員として採用され、感性工学をデザインの側面から研究。
その後グローバル電子機器メーカーにて技術プロモーション全般を担当しつつ、
任意団体にてオープンイノベーションによる新規事業、ソーシャルデザインに関わる。
デザイナーとしても活動し、キッズデザイン賞ほか受賞。
現職では、デザインリサーチ、企画設計およびプロモーション全般を担当。
次の“移動”を創る「人・技術・知恵をつなげる」研究会KITEや、DXDキャンプ(高度デザインDX人材になるための実践プログラム)など学びの場づくりにも取り組んでいる。

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