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ドナルド・トランプ氏の45代目大統領就任がおよぼす影響

公開:2017年1月17日 更新:2017年1月17日

毎年11月末のサンクスギビング・ホリデーを終えると、NYの街は一気に年末モードに染まります。昨年も恒例のクリスマスセールが始まり、街にはイルミネーションが灯され、クリスマスツリーやハヌキヤと呼ばれるユダヤ教の祝日ハヌカを祝うキャンドルなどが飾られ、街中華やかな雰囲気に包まれました。

そして2017年を迎え、1月20日がアメリカにとって大きな変化の初日となるであろうこの日に、ドナルド・トランプ氏の45代目大統領就任式が行われます。それが一体自分達の未来にどういった変化をもたらすのか。すでにまことしやかに囁かれているネタの中からデザイン関連に影響しそうなトピックをお伝えします。

サンフランシスコやニューヨークなどの海岸沿いにある都市エリアには、多くの外国人(non-american)が暮らしています。他国から子供の頃に家族と共に移ってきた人、大学や専門学校などで学ぶことを目的に単独で来た人、働くことを前提に入国した人などその過程や目的は様々です。彼らは移民(Immigrant)と呼ばれる米国での永住を目的とした人達と、非移民(Non immigrant)といって元の国にいつかは戻ることを前提とした”滞在者”の二種類に分けられます。

この地域には世界を牽引するIT企業や関連するデザイン事務所などがひしめき合い、その多くで大勢の外国人が貢献していると言われています。研究者やエンジニア、デザイナーなどその職種は多岐に渡り特殊技能や知識を必要とするため、高い教育・知識レベルを有する優秀な人材が職を求めて各国からやって来ます。

外国人がこの国で就労するにはビザ(VISA)かグリーンカードを必要としますが、就労ビザにもいくつか種類があり、その中でも今回注目されているのがH1-Bと呼ばれるものです。時期大統領となるトランプ氏が以前より異論を唱えていたのがこのH1-Bビザなのですが、これは学士あるいはそれ以上の学位と専門技術・技能を持つ人が米国企業で働く場合にのみ発給の対象となります。有効期限は3年(6年まで更新可能)で、受給資格を満たしていれば大学卒業直後でも取得できるために人気が高いのですが、雇い主が必要であったり毎年の発行数が限られているのために難易度の高いビザとしても知られています。特殊技能枠を狙った海外からの就労希望者が増加傾向にある中で、このビザの発行数は毎年85,000と限られており(一般枠:65,000、米国博士号以上保持者枠:20,000)応募開始から一週間未満で募集枠を超えてしまうのが最近の傾向です。2017年枠の公募の際には236,000人もの応募数があったとされていますが、この場合にはコンピューターによる抽選となり、どんなに優秀な人材であっても運任せというなかなか取得の大変なビザです。

このビザの効果は高く、前述の通り研究者やエンジニア、デザイナーなどの特殊技能・知識を持つ人材を幅広い年齢層で迎え入れることが可能なため、こういった人材を必要とする技術系の会社や研究機関では多くの優秀な人達が採用されており、GoogleやMicrosoftなどはその代表格です。

この状況に赤信号を灯したのが時期大統領のトランプ氏です。「米国人の雇用を優先する」ことをテーマに、非米国人雇用の規制やその制度の撤廃を昨年はじめに唱え、H1-Bビザもその対象の一つとして挙げられることとなりました。のちに高技能な非米国人就労の必要性に理解を示しましたが、実際の施策について現時点では見通しの立たない状況です。通常、職場での政治トークは一般的にタブー視されることの多いアメリカですが、マネージャーにとっては他人事では片付けられないようです。優秀な人材確保ができるか否かはそのチーム・組織・会社の命運を分けかねません。

トランプ氏の就任後すぐに改変されることはないと言われつつも、非米国人の雇用情勢にある程度の改変が起きるのは避けられそうにないと言われる今日この頃。果たして1年後、4年後にデザインやIT業界にどのような変化が生じていることでしょうか。

US Department of State – Bureau of consular affairs

Temporary Worker Visas(現在は閉鎖)

写真&文責:

入交真由(トリニティ スペシャルコラボレーター&デザインリサーチャー)