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2019年1月15日

デザインリサーチャーの視点で観る「CES2019」が描く未来

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毎年1月にラスベガスで行われる、その年のテクノロジー動向を示すイベント“CES”を視察してきました。
会期の2日前からプレス向けカンファレンスが開かれ、その年を代表する企業がキーノートに登壇します。
今年はIBM、アメリカの通信会社ベライゾン、LGエレクトロニクスが登壇しました。
進化が加速するAI、2019年始動する5G、8KやVRといった映像技術の革新、これらが絡み合い今までの想像を越える環境の変化を示唆していました。

CES2019の中で、デザインリサーチャーである筆者の目に留まった、いくつかの展示を紹介しながら、今年の様子をお伝えしようと思います。

今年一番印象的だったのは、「IMPOSSIBLE Foods Inc.」が提供するIMPOSSIBLE BURGER。
impposible-burger
このハンバーガーに使われているパテは、植物から作られた“肉”。
このハンバーガーを恐る恐る食べてみたところ、驚くことに、「見た目」、「食感」、「味」、全てが肉そのものでした。
聞くと、小麦やジャガイモから採ったタンパク質、トウモロコシ、こんにゃく、ココナッツオイルや豆を原料に作られているとの事。
SDGsでも課題に上がっている今後の地球環境における人口増と、それに伴う食糧不足、とりわけ酪農を行う土地不足や動物の供給難、水の消費問題などを解決するイノベーションです。
今までのCESで扱われるテクノロジーといえば、テレビや自動車といった生活を豊かにするプロダクト製品がメインでしたが、わたし達人間が抱える社会課題を解決するテクノロジーとして「食」におけるイノベーションが出展されていたことがとても印象的でした。

次にもっとCESらしい展示を紹介しようと思います。「LGエレクトロニクス」のロール式OLEDテレビです。

lg

以前はテレビといえばCESの花形でしたが、昨今は自動車関連に押され気味でした。
今年のLGはキーノートに登壇したこともあり、存在感があったように感じます。
近年テレビ画面の大型化により、生活空間における未使用時の無駄な存在感が課題となっていました。
これまでパネルの薄型化、ベゼルのスリム化や、壁掛けにし、テレビを視聴していない時はフォトフレームのごとく使う方法など提示されていました。
またこの数年、曲面ディスプレイも各メーカーから発表されていたが、その価値はそれほど訴求されていませんでした。
今回LGが発表したロール式テレビは、65インチ4Kの大型ディスプレイが、下部のボックス内に格納できるテレビです。
かつてリビングの一等地にあったテレビですが、時代が進み、その存在意義が変わる中で、このロール式テレビは、置く場所を自由に選択しながら(壁際でなくても、後ろに窓があるような配置でも)、空間の景色を遮らない存在となり、そこに住まう人々の生活の彩りを豊かにします。
人々の生活様式の変化に寄り添う提案だと感じました。

最後に、自動車サプライヤー「コンチネンタル」が発表したインテリジェントドアを紹介しようと思います。
continental
これは自動運転時代を見据えた自動でドアの開閉を行うシステムです。
内蔵センサーが障害物を検知すると開閉を制御します。ドアを開けた時、柱などに当たってしますことが無くなります。
また周囲の危険を検知し、子供が飛び出してしまうような事態を防ぐことができます。
乗車する人が近づくと、その人のスマホと通信を行い、自動でドアが開きます。
これまで自動運転技術そのものや自動運転になった際のモビリティ内の過ごし方やサービス展開の提案が多かったが、このようにクルマの機能そのものが、自動運転によりどのように変わるのかを提示したことは、また一歩自動運転時代への前進を感じた展示でした。


総括
今年のCESを通し、各社がヒューマンセントリックな考え方でイノベーションの活用を提示していたと感じます。
LGの社長兼CTOであるI.P.パーク博士がキーノートで最後に語っていたことが、それを表していました。
「スマートデバイスに囲まれた生活に意味はない。テクノロジーは生活をより良く変えていくことに意味がある。ならば今一度“Better Life”とは何をもって“Better”なのかをしっかり考える必要があるのではないか。」

とかくテクノロジーありきの製品開発、サービス開発が行われ、そこには本質的な問題解決なり、真の生活の質の向上が描かれていないケースが多く感じます。
スマートデバイス全てが繋がり、情報が行き交いながら、AIにより最適化される世の中で、人間にとってBetterな生活は、その人にとって、そして周囲の人にとって、気遣いができるインテリジェンスに囲まれ、便利に、楽しく生きることができる環境です。
その環境を提示するには、社会、コミュニティ、企業など全てがオープンに連携し、協調しなければ成しえません。
先進企業達は、そのマーケットでの囲い込みやシェア至上主義を目指していないと感じました。
2019年以降の世界において、同業種、異業種関わらず繋がることが必然である中で、自社の繁栄しか考えられない企業は淘汰されます。如何に連携しながら、Better Lifeの在り方を議論し、共有しながら、ビジョンを提示できるかが求められていると強く感じた今回のCES視察でした。

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