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デザインの視点
デザイン戦略
2020年11月19日

【古河産業様 デザイン経営実践インタビュー】カタログリニューアルから始める企業ブランディングプロジェクト

【古河産業様 デザイン経営実践インタビュー】カタログリニューアルから始める企業ブランディングプロジェクト

こんな方におすすめの記事です
・見た目の格好良さではなく、ブランディングを考えたい
・デザイン経営に取り組みたいがどこから初めていいかわからない
・経営層にデザインの意義を理解させたい

 


経済産業省と特許庁の提言によりさまざまな領域から注目が集まる「デザイン経営」。
ひとを中心に捉え、あらゆるUX(体験)の向上を目指すデザインの考え方やアプローチは、製品・サービスの形や機能に留まらず、社内の人の働きや営業活動など、さまざまな企業活動に浸透しはじめました。
トリニティでは創業当初から「ひとと企業をデザインの力でつなぐ」ことを信条に、デザインで企業を元気にする取り組みに併走してまいりました。

今回は、デザイン経営という企業の無形資産や価値を高める際の
大きな要素であるブランディングについて、
BtoBの商社である、古河産業様の取り組み事例をご紹介します。
ブランディングはデザイン経営を実践する重要な活動の一つです。
当初はカタログのリニューアルの予定だったそうですが、全社を巻き込んでのブランディングプロジェクトに発展。
これからデザインを経営に取り入れようと思っている日本企業やブランディング導入時に企業が陥りがちな課題をどうやって乗り越えるのか、デザインの考え方を取り入れることによる効果など、インタビューにお答えいただきました。

聞き手:中森志穂(トリニティ株式会社 デザインリサーチャー)

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【古河産業様 デザイン経営実践インタビュー】カタログリニューアルから始める企業ブランディングプロジェクト古河産業株式会社
世界的企業である古河機械金属、古河電気工業をはじめとした古河グループの商社。取り扱い製品は電力・通信ケーブル、非鉄金属原料・素材、樹脂原料、ドローン測量・運搬サービス、医療機器、衛生商品、食品など多岐にわたる。
1947年2月1日設立
https://www.furusan.co.jp/index.htm

プロジェクトメンバー
・デザインプロデューサー:山口崇
・コピーライター:大久保泰子
・デザイナー:仁田大介(仁田大介デザイン事務所)


古河産業様 インタビュー

自己紹介
【中森】 はじめに自己紹介をお願いします。
【古河産業様 デザイン経営実践インタビュー】カタログリニューアルから始める企業ブランディングプロジェクト【川岸】 古河産業の川岸と申します。総合企画部に在籍して3年目となります。それ以前は海外営業部門におりました。実は今回初めてカタログとかウェブの仕事に携わりました。普段は経営方針策定のサポートをしたり、新しい海外現地法人をどこに設置するかとか、Eコマースなど新しい営業の仕組みをどう作っていくかとか、この辺りをやっております。(写真右)

【柳川】 柳川と申します。入社当初は人事部にいて、その後は今の部署に異動したんですけれども、そのなかでどちらかというと数字とか資料の取りまとめといった情報整理的な仕事をしています。(写真左)

【   K   】Kと申します。私はアシスタント職なのですが、皆さんにお声がけいただいて、いろんな分野を勉強させていただいているという感じです。以前は営業部門のアシスタントだったのでカタログ作成は初めてのことで、新しいことを知れることがうれしく、毎回楽しく会議に参加させていただいていました。
(※今回Kさんは、恥ずかしいとのことで仮名でのご発言です。)

プロジェクトスタート時の目的
【中森】 今回のプロジェクトの目的は何でしたか?

【柳川】 事前にカタログについての社内アンケートをとっておりまして、アンケートから大きく3つの課題がみつかりました。1つめは内容で、前回作成したのが10年近く前なので、当然現在の当社の事業ですとか体制を正確に説明しているとは言い難かったんです。2つめはメッセージで、そもそも古河とはどういう会社ですとか、古河産業の方針や考え方というのを説明できていなかったという点がありました。3つ目は活用の度合いで、先の2つの理由からだと思いますが、御取引先様への会社紹介はパワーポイントで行なうことが多くて、カタログはあまり使われていないことが判りました。
そういった課題を解決して本当に有用・有益なカタログを作ることを目的としました。

【川岸】いまだからこそ言えることですが、私はこれらの課題を解決したうえで、単純に今風のカッコよいものをつくれば目的達成と思っていました。

業者選定をする中でブランディングが真ん中にないといけないと思い始めた
【川岸】 目的を設定したあと、制作会社さんの選定に入っていくのですけれども、いろいろなお会社さんと会話をしている中で、ブランディングというのものが一つ真ん中にないと、しっかりとしたウェブとカタログが出来てこないということ、さらにそのブランディングを進める手法としてデザインが重要なキーであることが判り始めました。我々の解釈としてはブランディングからデザインへの片方向ではなく、両者は各々を行き来できるものあるべきものと理解しました。山口さんを中心にトリニティさんと話している中で、自動車やカメラなどのデザイン発祥でありながらブランディングにも知見があるということを感じていましたので、一緒にやっていけるんではないかという意識が我々の中で生まれてきました。たしか去年の夏ぐらいですよね。

【山口】 そうですね、多分それぐらいのときです。

【川岸】 それが当社のブランディングの起点だったんじゃないのかなと思います。

会社全体を俯瞰してみられる総合企画が推進
【中森】 パンフレットをつくるというのは、ほかの会社だと、営業の人が使うんだから営業の事務の方や、あるいは広報部の方に頼んでつくるとかという考えのあるところもあります。古河産業さんの中では、経営に近い総合企画が担当するということに何かお考えがあったんですか?

【川岸】 中森さんの御認識のとおり、うちの会社でも、以前は総合企画部じゃなくて総務部の仕事だったんです。だけれども、経営陣からは、新しいものをつくりたいから、より広く会社の方針とか足元の動きを理解している総合企画でつくってくれという話があったんですね。多分、今回が初めて総合企画でつくったカタログということになると思います。

【山口】 総合企画部の皆さんが会社内の全ての事業に関して一番俯瞰して捉えられるのが強みですよね。

【柳川】 その通りなのですが、それは我々総合企画部の仕事がまた一つ増えることになります(笑)

今回のパンフレットのコンセプト、重視した点

【古河産業様 デザイン経営実践インタビュー】カタログリニューアルから始める企業ブランディングプロジェクト【中森】 実行に当たって重視した点は何ですか?

【柳川】 まず、古河グループの約150年の歴史、古河産業の70数年という歴史、それらに裏づけられる安心感であったり信頼性というものを伝えることを重視しました。コピーライターの大久保さんが当社のことをものすごく含蓄のある言葉できれいに表現してくださったと思っています。
商品・サービスについては、まず創業以来の電線や伸銅品といった旧来の素材販売から、メディカルやドローンなどへの新しい事業への広がりを伝えられるように意識をしました。実際にデザイナーの方から3つのパターンを出していただいたんですけれども、その中で、一番事業の広がりを表現できているデザインを選びました。

【川岸】 社員に対して、会社が変革していく姿勢を表現するツールにしたいという意識もありました。旧来の事業はもちろん大切だけれど、新たな価値をつくりだす必要があって、その可能性は無限大なんだというメッセージをデザインに内包したつもりです。たくさんの商品名や写真をカタログに掲載していますけれども、社員個々人の単位で考えると、その中の2、3にしか触れたことがなく、それ以外にはあまり興味がない。「自分たちの会社がいろんな新しいモノ・コトを扱っていることを視覚的に楽しく表現すれば、営業職の方の理解や興味が深まるし、営業の局面で話が拡がりやすいですね」という山口さんからのアドバイスがあって、自分の担当領域以外にも興味が湧くように掲載する商品や写真を工夫しました。見開き2ページにいろいろな商品写真を詰め込み、それを全て眺めながめようと目線が動く構成になっています。

【柳川】 新しい市場、仕入先、外注先、客先といったパートナーとの接点を増やして新たな価値を創り出す必要がある。そしてその可能性はボーダレスなんだというメッセージをデザインに織り込みました。

出来上がったパンフレット
【古河産業様 デザイン経営実践インタビュー】カタログリニューアルから始める企業ブランディングプロジェクト
【川岸】 FURUSAN DNAというコピーを大久保さんがつくってくれました。これを見た人は、改めて「ああ、古河産業ってそうだよな」って思いますし、それにより皆が認識を統一できるんじゃないかと思います。

素材メーカーをルーツとするものづくりへの共感と知見、
商社としての機敏さと柔軟性、
さらに変革の中を生き抜くたくましさは
FURUKAWA DNAとして今も私たちの中に息づいています。

(Writing:大久保泰子)

【川岸】 古河グループって、グループ会社のほとんど製造業なんですね。古河電工、富士通、横浜ゴム、古河電工産業電線などがそうで、みずほ銀行など非製造業は僅かです。その中で僕たちは商社であって、お父さんとお母さんじゃないですけれども、メーカーと商社の両方のDNAを持った会社だったんだなと改めて気づかされました。これは当社のブランディングのヒントではないかと。

制作プロセスを通じて社内の認識統一に繋がった
【中森】  制作する中で、何か社内の変化はありましたか?

【柳川】 「古河産業とは」というところから始まりまして、当社の設立時の資料を探すために様々なことをしました。古河産業の創業は昭和22年で、当時のことを知っている人間はもちろんもう社内にはいません。ですので総務部長がOB・OGをあたって設立時の資料を集めてくれました。それから、社長・取締役はじめ先輩のみなさんに会社に対する思いですとか方向性というものを何度も何度も聞いたのですが、普段は「忙しい」といっている皆さんも(笑)、我々世代の知らない過去の話となると時間を惜しまず、当社の歴史や今後の在るべき姿についてたくさん語ってくれました。また営業部門へはカタログの更新を説明して回り、意見をもらうことを繰り返しました。
こういうプロセスの中で、会社のやろうとしていること、我々のやろうとしていることや考えを自然に広めることができましたし、これからの在り姿について認識を統一するきっかけになったと思います。

【中森】  古河産業さんにはたくさんの部門があると思うんですけれども、どれぐらい回られたんですか?

【柳川】  営業は5事業部11部門ありますが全て回りました。マネジャークラス、担当者クラスに、どのような商品やサービスの載せるべきかを相談しまた。我々がこれを載せたいと思っていても、取引先との秘密保持契約の関係で載せられないとか、掲載しても良いけれども言葉の表現を変えてくれですとか、そういったハードルが多々ありましたので、ひとつずつ丁寧に解決していきました。

【   K   】 プロセスを通して上層部の考える方針がどんなものかもわかってきました。また営業部門とは、写真1つを選ぶにしても、とても慎重かつ詳細に「これはこっち」「これは違う」と話し合っていて、そういう情景を観ながら、出来上がるカタログのイメージがだんだんとクリアになってきました。

様々な立場の人が会社全体の動きに興味を持ち、イメージできるようになるきっかけに
【中森】  ということは、その前までに、うちの会社はこうなっていくんだという社の方針みたいなのはあるにはあったけれども、今回のパンフレットをつくるまでは、そんなにしっかりは伝わっていなかったということなんですか?

【川岸】 良い質問ですね。少なくともカタログやWebsiteを通じては伝わっていませんでした。

【   K   】 少々言いづらいのですが、川岸マネージャーや柳川さん達と違って、私のような営業アシスタントは、会社全体のことよりも、まず自分の部のことやお客さんのことなどが一番大切で、目線がちょっと違う気がします。
もちろん会社全体がどのような方向に向かっているというのは大切なのですが、それよりまず、あのお客さんへの輸送手配は期日に間にあうだろうかとか、売上計上に間違いはないだろうかとか、ともかく目の前のタスクが最優先である気がします。私も、この総合企画部に来て初めて会社の大きな方針や活動というものがイメージできました。

【中森】 言いづらいとおっしゃいますが、他の会社の方にとってもとても参考になる良いお話だと思います。まじめに職務をこなしていたら普通はやっぱり自分の所属しているところのタスクを最優先にこなさないといけないというのが職務を持った会社員のやるべきことだし、当たり前の考えだと思います。そういう方が企業を支えていらっしゃいます。
パンフレットを通じて、普段なかなかしっかり考えられないことを、社内の様々な立場の方によく分かってもらうというのはとってもいいことじゃないかなと思います。そして、Kさんのように視点は違えど、正直で自分に根差したリアルな意見を言える空気が社内にあるということも、多様性があって素晴らしいと感じました。

【   K   】 綺麗で素敵なパンフレットを手元にもらって見たときに、どんな風になっただろうと興味を持ったりしますよね。そこが認知のスタートかなと思いました。デザイナーさんも一緒になって写真を一所懸命探してくれました。 このカタログがみんなの手元に渡ったときに「あの部門はこんなことをやっていたんだ」というように引っかかってもらえたら更に嬉しいです。

【山口】 それをつくった人の熱量というんですかね、結構な人が関わって今回の会社案内をつくっているので、その熱量が社内のいろいろなところに散らばると、相乗効果が生まれますね。

多分、興味を持ってもらうきっかけって、人によって立場もあるし、会社との距離感もあるし、全部違う中で内容だけじゃなくて「何かこれ、きれいだね」っていうのは、誘因としてすごく重要だったりしますよね。パンフレットをつくったからといって、一語一句、全て腹に落ちている人って、私はほとんどいないと思うんですね。あのパンフレットの中でも、自分の興味や、響いたポイントって違うと思うんです。

ブランディング全般もそうですけれども、全部が全部同じ、全員が全員同じ方向を向いた会社は逆に居心地が悪いというのがあって、ある程度個人の思いとか会社との関わり方とか、雑多な中でもすごく引いて古河産業さんというのを俯瞰して見たときに「こんなイメージだね」と見えてきて、そこにはある程度、ノイズや空白みたいな部分も必要ですね。

僕は以前、ブランドコンサル会社でブランディングを専門としていたんですけれども、余白、空白、ノイズってすごく重要で、それをすべて埋めてしまうと経典みたいになっちゃうので、逆に違和感をうんでしまいます。個人と会社の関わり方の違いとか、コミットメントの度合いの違いとか、響くポイントの違いとか、そこのノイズ、空白というのがあるということが逆にプラスになるという捉え方です。

社内の意見をまとめるには、最大公約数ではなく、譲れないポイントを
【中森】 苦労なさった点をお話しいただいてもよいでしょうか。

【柳川】 社内意見の調整が、やっぱり大変だったと思います。もともと当社を表現する「絆ぐ 紡ぐ 創り出す」というフレーズがありますが、社内で面談をすると一人一人がそのフレーズを越えていろんな想いを持っていて、それを自分の言葉で表現されるわけです。それらをどういう表現に集約してカタログに掲載すれば良いのかを、トリトリニティさんとじっくり頭合わせしながら検討していきました。
幾つも案を出していただいたんですけれども、当社のみんながみんな違う箇所をそれぞれ指摘するのでかなりストレスを感じました。そこをトリニティさんがうまくガイドしてくださったと思っております。

【山口】 社内でまさに聞けば聞くほどいろいろな意見が来て、それを全部聞くと丸くなっちゃって、当初のコンセプトがなくなっちゃうというのは、デザインが良くなくなっていくあるあるパターンの第1位なんです。そこを回避するには、意見は聞くんだけれども、聞いた意見をどういうプライオリティで落とし込んでいくかということが重要ですよね。
今回の一番大きなポイントというのは、「ニッチリッチ(ニッチな切り口を皆様の豊富な商材を手段として丁寧に突き詰める事で、リッチな価値が生まれる)。」という考え方を大前提に会社案内を制作する事でした。この前提を崩さない事がプライオリティ1で、そこは絶対死守するというようなことを踏まえた上で、頂いた様々なご意見の全部が全部をフラットに落とし込むのではなく、この大前提となる考え方との紐づけをしながら意見を集約しました。

【川岸】 山口さんがおっしゃってくださったように、最大公約数的なものではまず新しいことが表現できないし、それが本当に正しい答えかどうかっていったら多分違うと思うんですね。みんなが納得するものだけを寄せ集めりゃいいということではなくて、こういう方向性があるんだとか、だからこうするんだという押し切りみたいなところが必要だと思います。だから、みんなの話は聞くけれども、いや、これはここまでだよって境界線を作って突き放すところがこのチームの重要なミッションでした。

【山口】 皆さんが確認する先の方々というのは、どうしても自分の事業が一番のプライオリティとして見えていますから、そこで見ている視点がこのチームの皆様とは違うというところがまず前提にあるんですね。
全部が全部、当事者の視点で見ていくと、まさに点の寄せ集めになっちゃう。意見を頂いた方々にまず理解を深めて頂きながら最適化するのが一番大変だなというのがあります。私もメーカーにいたことがあるのですごく感じましたね。

社内の承認プロセスを通すには
【中森】 社内の承認プロセスが大変というのは、どの会社にもあって、私も前職で同じような経験があるのでとても共感します。ほかの会社で同じ苦労をしている方にアドバイスはありますか?

【川岸】 やっぱり自信を持つことかなと。その自信を持つためには武器みたいなものが必要なのですが、それを一緒に考えてくださったのがトリニティさんだったと思います。

【山口】 デザインを出す前に上層部の方のインタビューをさせていただきました。僕らがかっこいいと思って出したものではなくて、上層部の方針、意見、考え方をかみ砕いてコンセプトに落とし込んだよという説明ができると内部の方にも意図をよく御理解いただけると思います。それから内部の方だけで進めちゃうと、社内に詳しいが為にどうしても社内での力関係への意識みたいなものも働いてしまう。そこでの会社の外の人間がフラットに解釈をしたらこうなるというのも、社外のメンバーのひとつの役割です。

【川岸】 当社の社長、取締役とのミーティングでは、トリニティさんからの第3者的な意見・コメントが大いに活きました。例えば当社のコーポレートカラーである緑と橙。最近はこのカラーリングを否定する社員もいるのですが「この色の組み合わせを使用している会社は日本では少なく、古河産業の目指すニッチ・リッチ性を表現する手段として有効」という、しっかりとした調査に基づいたコメントをいただきました。これは我々にとって大きな武器になりましたし、おかげでブレがなく色使いの選定を進めることが出来ました。

【山口】 会社案内も、ウェブサイトも、ほかのツールも全部そうですけれども、源流をたどったときに会社の大きな方針にしっかりとひもづいていないと駄目だと思うんですね。そこの会社の大きな方針やそこへの各ツールの紐づけ方というところから設計していく、そういうつくり方が重要かなと思っています。

“オリジナル”を一緒につくり上げていくというプロセスの楽しさ
【中森】 どうしてトリニティに頼もうと思われたんですか?

【川岸】 まず、カタログとウェブの両方のデザインに対応出来るというところが魅力的でしたが、トリニティさんのように経営やブランディングに知見のある会社というのが少なかった。これはトリニティさんの強みであると思います。
あとは、ここ数年、今もそうですけれども、デザイン思考というのがはやっているじゃないですか、四、五年前からぐらいですかね。その中で、単純ですけれども、デザインというキーワードに僕たちが引っかかっちゃったところがあるかもしれない(笑)。

【山口】 ありがとうございます(笑)。

【川岸】 先ほどお話した通り、ウェブとカタログの両方の対応が出来て、かつマスメディア対策までしていただける会社はあります。初回打合せから数日で「こんなのでどうでしょうか」と立派な提案書を持ってこられる。それはそれで魅力的であるのですが、あまりにも型にはめられ過ぎている感じが強くて、私たちに考える隙間が与えられていないと思ったんですね。並走して一緒に作るというみたいな雰囲気をあまり感じなかった。しかし、トリニティさんは納得がいくまで打合せにも付き合ってくれる感じがしたし、結果としてそうしてくださった。僕たち、ちょっとしつこかったですけれどもね(笑)。

【山口】 ウェブの専門会社とかカタログの専門会社は、その分野ではとても深い知識や経験があるので、ここだけを見たら、そちらの会社のほうがすごく細かいことを知っているし、多分うまくできる面も多いです。
だけれども、トリニティを選んでいただいたというのは、形に落とす前の過程というか、ブランディングというキーワードがみなさんの中に芽生えたというところにあって、経営者のマインドや未来に対する想いからブランディングを中心に考えて、アウトプットのツールの1つとしてウェブ、カタログという御認識をいただけたところが、トリニティがフィットすると思っていただけた理由なのかなという感覚でいます。

【   K   】 私はトリニティさんに決まってから参加なのですが、今、川岸マネージャーが言ったところですごく共感しています。古河産業の内部での意見調整が難航して、いろいろなことを変えたり、変更したり、というイメージが少しありました。でも、いつも思っていたのが、丁寧に、真剣に、粘り強く対応していただいている感がすごく強くて、私は、それが一番トリニティさんとお仕事できてよかったことではないかなと思っています。
型にはめられた感じではなくて、オリジナル商品を一緒につくり上げていくというプロセスの楽しさや、成果物に愛着が湧くような進め方が私はとても好きで、それが古河産業の社風とすごくマッチしているような気がしました。

【山口】 デザインがいつまでたっても出てこないなって思いませんでしたか?(笑)

【   K   】 いえ、逆に本当に一つ一つ、親切丁寧にやっていただいているのをすごく感じていました。例えばデザイナーの仁田さんが、中身が映える紙の素材を納得のいく説明をもって提案してくださいました。私たち素人に、何をどうしていいか、情報を提供してくれながらも一緒に咀嚼して作っていくという、楽しさみたいなものがあったので、新鮮な気持ちで作業を進めることが出来ました。

【山口】 ありがとうございます。おっしゃるとおり、紙も含めてデザインですからね。同じビジュアルでも、こっちの紙に落とすのと、あっちの紙に落とすのだったら、イメージが変わってきますもんね。

【   K   】 結果として高級感があるものができて、これまでの会社案内や他社のものと差別化ができてとてもよかったです。それと、コピーライターの大久保さんがさすがプロだなと思える多くの言葉を生み出してくれていて、尊敬の念を抱きながら、たくさん勉強させていただきました。

ネクストステップ
【中森】 今回のプロジェクトが意識統一のきっかけになったということでしたが、この次のご予定はどうなっていますか?

【川岸】 今ウェブ制作をお願いしていますが、そちらでも社内の意識統一を続けられたらなと思います。

【   K   】 このコロナの時代になって、ちょっと変わりましたよね。今度はウェブサイトとかネットが基盤となるかと思うので、話のネタになったり、変わったので見てくださいって自信を持って言えるような、ウェブサイトができると社員のモチベーションも上がるのではないかなと思っています。

【川岸】 他に、SNSで当社の情報を発信していこうという動きが1つ。あとEコマースです。さらに可能性としては、僕たち、今、BtoBしかないですけれども、BtoCにも入っていく可能性があります。そっちも拾えるようなつくりにしなきゃいけないのかなと思っていて、僕たちの感覚では結構大ごとになってきています(笑)。
それらが確立してこそ、デジタル世界での顧客満足というのを提供していけるんだろうと考えますが、多分軸になるのはブランディングで、どういう会社であるべきか、何を発信してファンを作っていくかというところが大切だと感じています。これらの活動も会社案内と同様に一緒にやっていければと思います。

【山口】 ぜひ。多分、現在は様々なツールを整備するという事がプライオリティにはなっていると思うんですけれども、会社の戦略という意味で見ると、入り口はいろいろあるんですよね。
ツールを命題にすると、どうしてもそこのつくり込みにフォーカスしてしまいます。経営に関わる皆さんは俯瞰した視点というのを常に確保しておかなきゃいけないので、青写真をまず描くというところから始めたいです。それを描いた上でひとつひとつのツール制作に注力し、また青写真を描いてということを行ったり来たりしながらやっていくと、多分いいバランスができてくるんじゃないかなとは思います。
例えば、今はBがメインだとしても、今後、何年後にCを取り込むために、現時点ではこういうような位置づけでSNSをやったらいいんじゃないかとか。ますはCのお客さまとどういう関係性を築くのがまず第一弾で必要なのかというところをもう少しディスカッションさせていただいた上でツールに落としていく、というのが結構重要かなとは個人的には思っています。

【川岸】 そうですね。ただ最近はPDCAのPとDのインターバルがかなり短くなっているんで、どんなPが生まれようとも、それをすぐに実行できるように伏線的にツールをある程度事前に実装しておく必要があるかなと思う次第です。なんだかまた忙しくなりそうですが、引続き宜しくお願いいたします。


【古河産業様 デザイン経営実践インタビュー】カタログリニューアルから始める企業ブランディングプロジェクトプロジェクトメンバー デザインプロデューサー:山口崇よりコメント
プロジェクトに関してすごく皆さん、真摯に、真面目に取り組んでいただける方が集まっていただけたことに感謝します。
こういうゴールが見えにくいプロジェクトは、ごまかそうと思えば幾らでもごまかせてしまうので如何に妥協せずストイックに取り組んでいけたかという事がクオリティを左右してきます。
僕らがいろいろと細かくうるさく言わせていただいたことを、全て本当に真摯に受け取っていただき、腹落ち頂けるまで粘り強く質問&議論を頂けた事が、よい結果につながった大きな要因だと思います。


■まとめ デザイン経営の第一歩:ブランディング実行のポイント
古河産業のみなさまにお話をお伺いしました。
自社の強みを見つめなおし、ひとつずつ積み上げながら納得できるものに落とし込んでいく過程に、
古河産業さまのものづくりの精神がかいまみえるインタビューとなりました。
インタビューを通じて見えてきた、今回の事例でのブランディング実行のポイントを整理します。

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古河産業さまのブランディング実行のポイント

  1. 会社全体を俯瞰してみる視点からすすめるため、総合企画が推進
  2. カタログやパンフレットはツールの一つとしてとらえ、個別に急いで制作するのではなくまず、それらが発するメッセージのコアとしてブランディングに取り組む
  3. 経営層を巻き込み、会社の源流である方針とマッチするようにすすめる
  4. さまざまな立場の人の意見をヒアリングし、何度も議論することで社内での文化浸透につなげる
  5. 言葉一つ一つをごまかさず真面目に取り組む

今回の古河産業さまの取り組みでは、通常のカタログ・WEB制作よりもかなり長い時間と労力を、自分たちの「らしさ」構築に注がれました。
しかし、これこそをすべての企業活動のコアになる部分として、
ツール製作に先んじて集中的に取り組まれたことで、
・社内の意識統一
・経営方針と社員の意識のつながり
にも成果が出始めています。

目に見える形としてカタログやWEBなどのツールにするだけではなく、
その前にある「自分たちは何者か」、「どんな価値を生み出すか」を
考え抜いて言葉に落とし込むプロセスこそが最も重要です。
もちろん、これだけがすべてではありませんが、
これからデザインを経営資源として取り込みたい皆様もぜひご参考になさってください。

 

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