MENUCLOSE

ARTICLES記事

デザインの視点
海外・新興国
2019年12月5日

海外市場を攻略する為のCMFデザインとは?

こんにちは。トリニティの深澤です。

前回、海外のデザイン嗜好に関する記事を書かせて頂きましたが、今回はCMF+P(カラー/マテリアル/フィニッシュ+パターン)デザインに関するお話しです。トリニティでは、カラーデザインに関するグローバルリサーチや、CMFデザインのコンセプト開発を行っていますが、海外向けのCMFデザインを検討する際、実は課題としてよく挙がるのが、「P=パターン/模様」 の扱いです。

〇海外では一般的な、模様の入った家電製品
海外市場を攻略する為のCMFデザインとは?

LGがインドで展開している浄水器。インド人の好きなマルーンカラー(えび茶色)に花柄模様が施されている。

日本国内では、模様の入った製品はテキスタイルを使うファッションやインテリア製品以外に、なかなか見かける機会は少ないかと思います。しかし、海外では家電製品を中心に、模様の入った製品も量販店等で普通に見かけます。花柄から幾何学模様まで様々なタイプの模様がありますが、その模様の在り方は国や地域にによって大きく異なります。

海外市場を攻略する為のCMFデザインとは?

Haierが中国で展開している冷蔵庫。高級感を感じさせるメタリックブラウンの本体に、うっすら有機的なパターンが施されている。

〇文化や宗教と連動する模様
世界的にみると、様々な模様がありますが、アラベスク(幾何学と植物模様)はイスラム美術・文化がその背景にあり、ペイズリー(植物模様)は、ペルシャやイラン・インドが発祥の地ではありますが、イギリスのペイズリー市でこの柄の織物が量産されたことからペイズリーと呼ばれるようになりました。

カモフラージュ(迷彩)は、諸説ありますが、第一世界大戦当時のフランスが起源とされており、バティック(花柄や植物模様)の起源は、古代ヒンドゥ・ジャワ王国の王宮文化にあるとされ、2009年に世界無形文化遺産に認定されています。どの模様も単なる装飾ではなく、その起源において文化や宗教的な背景があることが伺えるかと思います。

〇模様と文化の盗用
ここ最近話題となっているトピックに「文化の盗用」というものがあります。「文化の盗用」は、英語だと「cultural appropriation」と表記され、意味合いとしては「他の人種民族の文化を他者が表層的に模倣すること」とされています。この文化の盗用が、実は模様とも関連しているのです。

海外市場を攻略する為のCMFデザインとは?

メキシコ政府から非難されたキャロライナ・ヘレラのコレクション 引用元
http://www.thefashionlaw.com/home/in-a-swathe-of-cultural-appropriation-claims-against-carolina-herrera-what-is-really-going-on

2019年6月、世界的なファッションブランド、キャロライナ・ヘレラが、メキシコの伝統的文様をデザインに使用したことから、メキシコ政府から文化の盗用と非難される事態が起きました。このような発言の背景には、支配的な文化に属する人間が、マイノリティの文化を理解せず表面的に使用することに対する批判を含んでいますが、実際にどの程度理解し使用されたか、外部から判断することは難しいでしょう。とはいえ、様々な目が光っている現代においては、馴染みのない文化圏の模様を単に美しいからという理由のみで使うことは、大きなリスクをはらんでいるということです。

〇美しいと思う、その背景にある物語を理解する
現代の製品/サービス開発では、製品のスペックではなく物語性が大事であるということがよく言われますが、CMF+Pのデザインにおいても同様です。特に模様に関しては、単純な模倣を行い「文化の盗用」と批判されることは、避けなければなりません。ただ美しいだけではなく、その国や地域の固有性、言い換えればその背景にある歴史、物語を踏まえたものであることが、共感を生み出すために重要な要素となるのです。

我々がデザインリサーチを行う際、直接的にデザイン嗜好を理解しようとするのではなく、その国や地域における歴史的、文化的な背景を理解するのに時間をかけるですが、実はこういった理由が存在しているのです。

 

 

T/——————————————————-
文責:深澤秀彦
トリニティ株式会社 取締役

トリニティでは、グローバルでのデザインリサーチを中心に、デザインマネジメント戦略、デザインコンセプト、デザインモデルの開発等、様々なプロジェクトを担当。欧米を中心に、南米やアジア、中東、アフリカ地域などを様々な地域を対象に、現地フィールドワークを含む海外でのプロジェクトを多く推進している。また、国内外のデザイナー、デザインリサーチャー、エンジニアといった、多種多様なエキスパートとの共創経験も豊富で、プロジェクトのテーマや課題に応じてチームを編成し、指揮している。

トリニティのリサーチセミナーのお問合せはこちら

お問い合わせ

PAGE TOP