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NEWSお知らせ

2017年10月3日

車両サプライヤー 合同勉強会「SSD活動」の最新報告!

トリニティでは3年前から、複数のサプライヤーのデザイン組織と共に、系列を超えた合同勉強会を展開している。これは業界初の試みと言える。

なぜならクロスインダストリーが加速される今、自動車業界に於いても、自動運転やEV車両の促進等々により、ここ数年でめまぐるしく変化する技術と顧客&エンドユーザー価値観、そして法改正の中にあって、バリューチェーンの中での新しい「立ち位置」を早急に築かなくてはならないからだ。

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*参加企業メンバーをシャッフルした、若手ワークショップのグループワークのシーン

サプライヤーは、従来の系列や独自技術の枠を飛び越えて、B2Bビジネスの中で何を客先に提供していくか~を主体的に考え、提案していく時代に入っている。

それを叶えるには、B2Bビジネスだからこそ、客先の未来&戦略シナリオと同次元の「業界の情報を知り」「自社製品の開発に活かし」「客先に提案する」こと、そして何より、それを実現できる人材やしくみを育てることが急務なのだ。

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*日常業務では、担当する製品の部分だけでソリューションを考えてしまう。若手ワークショップでは、想定顧客や使用シーンなども視野にいれたアイデーションの練習も

この合同勉強会、SSD活動(Super supplier by Design)はここに着目し、Tier 1、2とクルマデザインソサエティをつなぎ、参加者合同で、これから必要となる人材開発、ネットワーク醸成を推進していこうと考えており、それに賛同したサプライヤー5社が一丸となって活動をしている。

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*系列を超えた5社が参加しての合同勉強会秋の部。オープニングのシーン

■ファッションセレクトショップの老舗「SHIPS 辣腕MDが語る、これからのライフスタイル」

ここ数年、市場ではSUV、クロスオーバーという車型が増えている。SUVとはsports utility vehicleの略称でスポーツ用多目的車を指す。市街地だけでなく、長距離や悪路での走行性が高いため、アウトドアを楽しむには最適である。
プレミアムブランドを見渡しても、英国勢のジャガー、ベントレー、イタリア勢のマセラティ、アルファロメオは既にSUV市場に参入、ランボルギーニも2018年にはSUV市場に参入する予定となっている。勿論、国産メーカーも例外ではない。

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*この秋のフランクフルト・モーターショーから

なぜ、SUVなのか。
サプライヤーとしても、今後クルマメーカーが一層SUVの生産台数を増やしていくのか、それとも早々に飽和状態となり、次はセダンやスポーツカーに行くのか~その動向は気になるところ。
そもそも、クリエイティブを担う私たちは、エンドユーザーの価値観やライフスタイルが
どこに向かっているのか~を掴むことは、もっと大切である。

そこで、トリニティでは、老舗ファッションセレクトショップのSHIPSで過去にスポーツブランドとのコラボを次々ヒットさせてきた、辣腕MDの篠原渉氏を口説き、ファッションビジネスからみた、今のユーザーのライフスタイル、つまりライフスタイルがいかにスポーティ、カジュアルになっているか、について語ってもらった。
彼は、あのミズノクリエーションも手掛け成功を収めている。

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篠原氏曰く、「私たちは皆、日常の中の非日常を求めていると思います。それも、手軽に、スマートに。」当面は、引き続き、心地よさ、カジュアル、スポーティブ、抜け感が求められるのではないでしょうか。
一方で、たとえトレンドが変化しても、昔と同じスタイルがそのまま戻るのではなく、
一度味わった心地よさ、快適さ…は、ユーザーはもう譲れないわけですから、ファッションはその機能を取り込みながらどんどん進化していく。特に素材の機能はキーファクターです。」

たしかに、篠原氏の分析どおり、私たちはITの進化&深化により「気分や情報を瞬時に切り替えて、複数の世界感や価値観、ソサエティに部分的に所属」し、それを自ら編集するかのような日々を送っている。
日常と非日常も、気分で瞬時に、スマートに切り替えたい。
日常の中に、非日常をどう取り込むか。非日常の中でもスマートで手軽な感覚はあってほしい。そんなライフスタイルの中に、SUVは存在するのかもしれない。
・・・であれば、このSUVブームのもう少し続くのだろうか。

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最後に、登壇した篠原氏からは、
「異業種の方々とのディスカッションは、非常に有意義なものでした。特に印象に残っているのが「車業界もファッション業界もお客様は一人」なんだという事です。
インダストリーの領域で分けられるものではない。
そして、トレンドとマインド(気分)は密接に絡み合い、最新のテクノロジーとMIXして新たな商品を消費者は求めることを、今回の参加者の皆様と過ごして再認識しました。」との感想が。
「何より、SSD参加企業の部長クラスの方は、SHIPSに憧れて青年期をすごした方も多く、SHIPSの前身ミウラ&サンズからのコアなファンもいらっしゃり、SHIPSの航海は続いていると実感しました!将来的にSHIPSとクルマを含めたライフスタイルのコラボも面白いかな~とビジネスの可能性も広がりました。」との、心がシンクロする想いも語って頂けました。

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■次回は、東京モーターショーにタイミングあわせてのイベントの実施!

今年度最後のプログラム、SSD活動の締めくくりは、10月27日(金)の東京モーターショーの特別招待日。
この日の午後を使って、東京モーターショーや今年の海外のモータ―ショーに見られる「クルマのインテリアトレンド」のセミナーと、クルマメーカーの複数デザイナーによる「サプライヤーに求めること&期待値」(仮称)をテーマにしたクロストークが行われる。
そして、終了後には、密な懇親会が予定される。

今年の東京MSはじめ、どうクルマのインテリアトレンドを読み説き、それをそれぞれの
自社の戦略に昇華できるか・・・。
これからも修行の日々である。

日本のサプライヤーのバリューを上げることは、世界のクルマ産業での日本のプレゼンスを上げる最短距離だと信じて、私達トリニティはこの活動を続けます。

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2017 SSD スピンアウト企画 ”東京モーターショーから未来を語る”

実施日:2017年10月27日(金)13:00~20:30(想定)
場所:東京都品川駅周辺 貸し会議室&パーティールーム
当日のプログラム(想定)
前半:セミナー
「クルマのインテリアのトレンド~東京MS速報と、最近の国際MSから」
*モータージャーナリスト 古庄速人氏 によるプレゼンテーション
後半:クロストーク
「今、サプライヤーに求めること&期待すること」
*2社の自動車メーカーのインテリア担当デザイナーによる対談を予定

問い合わせ先:
トリニティ株式会社 SSD事務局 担当:白濱
お問い合わせはこちらから
http://trinitydesign.jp/contact/general/

2017年9月20日

8月24日、TOPICS 夜会にて

先日、弊社主催の“TOPICS2017 夜会”が開催されました。その模様をお伝えします。

“TOPICS”とは、日本の約10社の異業種デザイン部門が集まり交流する勉強会で、来年には10年目を迎えるトリニティの代表イベントの一つです。

今年三回目の開催となった今回は『クリエイティブ組織力向上会議』と称し、新しい社会の中で成長し続けるためのデザイン組織と人材育成について、ご参加いただいた企業さまの課題と解決案について討論頂きました。日本を代表する各分野トップメーカーのデザイン部門からマネージャーやチームリーダーなど、社内でもデザインの品質維持と組織のマネージメントと重い責務を負う立場の方々に多くご参加いただきました。

今回は参加企業のコクヨ様にご協力頂き、港区にあるコクヨ東京ショールームを会場としてお借りしました。コクヨ東京ショールームにはコクヨ様の製品の展示はもちろん、製品が使用されるシーンに合わせて展示空間が設計されているなど、訪問者が体感することに重きを置いた展示場です。コクヨ様社員の方が働くオフィススペースも併設されており、コクヨ様の日々のクリエイションを体感することができる贅沢な空間となっていました。実会場となった5Fのパブリックスペースも開放的で、こんな環境で働くことのできるコクヨ様の社員をとても羨ましく感じます。

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会場に軽食や飲み物も用意し、オブサーバー役の任天堂様の挨拶と乾杯の後、和やかな雰囲気の中でのTOPICS夜会がスタートしました。まずは各企業様が持っているデザイン・クリエイティブ組織としての課題を発表して頂き、発表後それぞれの企業様へと質問となりました。業種や取り組み方などは異なりますが、それぞれの企業が持つ課題については共感する部分も多くあるようで、各参加者の方からは次々と質問が上がっていました。

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特に興味深く伺ったのが、デザイン部門と設計部門の橋渡しのお話。どこまでが設計でどこまでがデザインか、非常に難しい問題です。形状がそのまま機能につながる製品においてはデザインがそのまま設計に繋がります。そういった場合デザイナーと設計者の役割の線引きをどこに置くのか。出来上がってくるプロダクトも大きく影響を与えることになります。組織としても個人のデザイナーとしても無視することのできないこの課題に、参加者の企業様同時多くの意見が交わされていました。

それぞれの企業様の課題発表後は、自由形式で参加者同士がディスカッションを行う時間を設けました。発表では聞くことのできなかったそれぞれの課題と取り組みについて参加者同士熱く議論頂きました。最後にそれぞれ感想と会の成果を発表頂き、第三回TOPICS2017 夜会は終了となりました。

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一世代前の時代にはなかった技術が発展し、ライフスタイルも大きく変わっている昨今、デザイナーと呼ばれる職種もひとつの専門性を極めるだけではなく、複数の分野をまたがって活躍するよう求められる場面が多くなってきています。マネージメントやビジネスなど今まではデザインの文脈で語られることのなかったジャンルも話題にあがる機会も増えて、デザイン思考も一般的に認知される段階まで来ました。製品やサービスにおけるデザインの意味合いも表面的な意匠や機能だけではなく、その背後のストーリーやコンセプトにまで関心が及んでおり、購入動機としてモノからコト、更に社会貢献にまで発展しています。ユーザーの価値観が多様化することはもちろん、これから生まれるデザイナー達も今までとは異なる新たな価値観を持っているでしょう。

回答がすぐに得られるものではありませんが、柔軟に変割り続けていくことができる組織と人材育成について、参加企業様それぞれがヒントを得られる機会が提供できたのであれば幸いです。各企業様の今後の取り組みに注目していきたいと思います。

 

次回は第四回TOPICS2017のテーマは『知覚×デザイン 聴覚の会』。

ご興味ある方はぜひご連絡ください。

<連絡先>

株式会社トリニティ

岡村貴啓

Email: yoshihiro@trinitydesign.jp

 

(文責:米山)

2017年9月12日

ロンドン視察

今年はロンドンを訪問しました。

北海道の北端より緯度が高いロンドンでは、
5月から8月の間、夜の9時頃まで日が沈まずに明るくなります。
街のカフェやパブのテラス席には、
今しか楽しめない陽気を求めて人々が集まり活気に満ちています。
対照的に、どんよりとした曇り空が続く冬の時期には、
人々はコートの襟を立てて無表情に街を行きかっており、
そのコントラストからは改めて、
気候が人の気持ちに与える影響の大きさを思い知らされます。

ちなみに日本からロンドンに行った時よりも、
ロンドンから日本に帰ってきた時の方が時差ボケが辛い、
という話を聞きましたが、こちらは本当でした!
これから行かれる方はお気を付けください。

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<Hydeparkを楽しむロンドンの人々>

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これは世界的な傾向でもありますが、
ロンドンにおいてもSOHOや在宅ワーク 等の働き方や働く場所の多様化が進み、
政府の政策もあり、新しい住宅にワーク用のスペースを設ける動きが進んでいます。
これまで以上に住まう場と働く場の境目が無くなっていく中、
そこに置かれる家具やプロダクトのあり方や佇まいについても、
より一層の変容が求められていくのかもしれません。

東京23区の半分程の面積であるロンドン中心部は慢性的にスペースが不足しており、
住居費に掛かる金額がとても高い状況は東京と同様です。
その中で、若いクリエーターを中心に家賃の低い郊外に移る動きが加速しており、
そうしたクリエーターが集まることで注目される個性的な街も生まれています。

ケント州のマーゲイトもそうした街の一つで、美しい海辺の景色を持ち、
元々はロンドンからの日帰りレジャースポットといった位置付けの街でしたが、
2011年にテイトギャラリーの別館がオープンしたこと、
また地元出身のアーティストのトレイシー・エミンの活動もあり、
ロンドンの若手アーティストに注目を浴びる街となり、現在では彼らの移住が進んでいます。
今後は、こうした新しい街から発信されるであろうトレンドからも目が離せません。

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<ロンドンは比較的コンパクトな街であり、その郊外には個性的な街が生まれつつある>

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イギリスと言えば食が美味しくない!
という事で有名になってしまっていますが、
20年ぶり位のロンドンだったのですが、
現在のモダンブリティッシュのレベルがとても向上していることに驚きました。

イギリスでは2000年代半ばにセレブリティシェフと呼ばれるスターシェフが台頭し、
一大グルメブームが起こったそうで、
それを皮切りにロンドンのレストランやカフェのレベルも一気に向上したそうです。

現在ではオーガニックをテーマとしたレストランやカフェ、スーパーマーケット 等も多く、
食を通した健康意識の高まりはロンドンを語る上では外せません。
来訪の際は、ぜひイギリス料理もお楽しみください!

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<ロンドンの中心部にあるモダンブリティッシュを提供するレストラン>

(文責&写真:織田)

2017年9月12日

多様性とエネルギーに満ちた国“インド“を訪れて

9月初旬1週間のインド市場調査のプロジェクトで、ニューデリーを訪れた。
そこは“いわゆるステレオタイプのインド”とは、次元の違う空気の国であった。

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宗教こそヒンドゥ教徒が約80%を占めるものの、数多くの神様が存在し、
それが人の生きる拠りどころとなっている。
話す言語も公用語はヒンドゥ語とはいえ、インド全体を見ると22の指定言語を持つ。
各地で全く違う言語といっても過言ではないほど違う言語が使われていると言う。
日本の方言とは、比べ物にならない差のようだ。
北と南では、食べるものも、生活習慣も異なる。
本当に多様性の国であり、一言で“インド”を言い表すことは、全くできない国なのである。
このように多様性が一国に混在しながら、インドがインドたる所以は、
一人一人が常に一人称で、自分視点で存在しているからであると思う。
この国の人たちは、まず自分であり、後にも先にも人の事など気にしているそぶりも見せない。

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デリーは、慢性的にひどい渋滞で、通勤ラッシュ時は、
いつもの2倍以上の時間がかかったりするほど、毎日が渋滞である。
3~4車線でも、平気で4~6車線で走り、他のクルマ、バイク、歩行者お構いなしに車線を変え、
左右に曲がりながら、ぶつかる事無く、皆で阿吽の呼吸で歩調を合わせ進むのである。
こんな状況でも、ほとんど事故が起こらず、皆が進んでいくのは、本当に凄い。
うしろからクラクションを鳴らしまくり、自分の存在を誇示しながらも、
前にいるクルマは、そんなクラクションなど全く気にしない。
皆が前しか見ておらず(実際サイドミラーやバックミラーで後ろを確認することは、極端に少ない)、
後ろの事は気にすることなく、前方のモノにぶつからず進むことに専念している。
皆が歩調を合わせながら、前の人にさえぶつからなければ、事故は起きないというのが、基本的な考え方である。

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今回はオールドデリーにも行く事ができた。
ここはまた他の場所とは一線を画する、すごい場所であった。
ここに訪れてから、ニューデリー市街に戻ると、
なんと近代的な街なのかと思えてしまうほど、混沌とした空気が流れている場所であった。
しかし、そのオールドデリーでも、インド人のとてつもなくエネルギッシュなパワーを感じた。
絶対日本人では生き延びれないような空気、環境、生活の営みの中で、
人も犬も牛も何もかもが、生き延びようと1歩ずつ歩みを進めている。
激しい主張はないが、生き延びようという意思をとても感じた。
身なりはボロボロでも、生気を失っている人はおらず、背筋を伸ばして颯爽と歩いているのである。
けれども、そんな生命力溢れる、エネルギッシュな国でありながら、国民は運命を信じ、
明日死んでも、それが運命ならしょうがないという考え方なのだそうだ。実に面白い国だと思う。
そこにインド人のメンタリティの強さがあるのだろう。

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多様性とエネルギーに満ちた国“インド”であるが、国民もここ数年の急激な進歩、
グローバル化を感じながら、躍進している。
そして日本の高度成長期に似ている部分と、さらに貧富の差が街の至る所で見られる状況が、
この国のエネルギッシュな様相を加速させている気がする。

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ZARAやH&M,GAPなどのグローバルSPAが、若く成功している人々の間で着られ、
洒落たレストランで、カップルがお酒や食事を楽しんでいる。
そんな彼らも時にはインドの伝統衣装のサリーを身に纏い、オシャレを楽しんだりと、
グローバルな嗜好と自分たちルーツを愛する気持ちを、どちらも忘れず持ち続けている。
外国かぶれではなく、自分たちのアイデンティティは強く持ちながら、
そこに外国からの洗練されたエッセンスを取り入れるといった感じなのである。

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今回、急激に成長するインドの真の姿に触れ、多様性の中で強く突き進む、この国のポテンシャルを強く感じた。
今後もインド市場に注目しつつ、刻々の変化をお伝えしたいと思う。

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(文責&写真:兵頭)

2017年8月1日

オフィス移転のお知らせ

2017年8月1日。
例年以上に暑い夏の日、
創業20年を迎えた私達は、
新しいオフィスに引っ越しました。
慣れ親しんだ紀尾井町から離れることなく、隣の小さなビルの最上階。

「デザインで、経営とユーザーのインサイトを繫ごう!」
「デザインと経営は一体であるべき!」
といった創業当時の私達の小さな想いは、今や世界中で浸透しつつあります。
デザイン思考やメソッド等の手法の是非ではなく、何のためにそれをなすのか、
なぜそれをやるのか~という問いこそが大切であると~誰もが気が付き始めています。

今、1997年の創業当時を振り返れば、経験不足だった私や創業当時の若いメンバーに、
仕事の機会をくださったお客様は、恐らくそれに気が付き、
今でいうイノベーションを求めて挑戦していた方々だったと思います。
そしてそのお客様に刺激され育てられ、ここまで来ることが出来ました。
ありがとうございます。

今日もトリニティのチームは、当時と同じマインドやパワーを持ったお客様の想いや熱意に支えられ、
毎日模索しつつも、成長させて頂いています。

この夏、新しいオフィスで気持ちを新たにして
トリニティも次の一歩を踏み出します。

トリニティ(株) 代表取締役社長
湯浅 保有美

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2017年7月24日

TOPICS”夜会” リポート

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先日、弊社主催の“TOPICS2017 夜会”が開催されたので、その模様をお伝えします。

“TOPICS”とは、日本の約10社の異業種デザイン部門が集まり、日々研鑽する勉強会で、来年には記念すべき10年目を迎えるトリニティを代表するプログラムの一つです。

今年に入ってから二回目の開催となった、6月の回のテーマは、
知覚《嗅覚》× デザイン。

会場となったのは3331 Arts Chiyodaという廃校をリノベーションした複合施設。
アートやデザインの展示スペース、カフェ、レストラン、ショップそしてコミュニティスペース等で構成される共創には絶好の場、今回は入口左手のコミュニティスペースでの実施となりました。窓が大きくて開放的で、幅広い用途で利用できる空間です。
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知覚 | Perception

デザインにおいて欠かすこのできないキーワードになると思います。
センサー開発やAI、自動運転、IoT等々の最新のテクノロジーは人間の知覚をもとにしたデータの集積、分析が必要不可欠。
また黄金比、アフォーダンスやCMFなどデザインは常に知覚を具現化する行為と言えるからです。

今回、私たちはSony 新規事業創出部の藤田修二氏をゲストスピーカーとしてお招きし、トークセッションとグループディスカッションにも参加していただきました。
藤田氏といえばパーソナルアロマディフューザーAROMASTICの開発者として、ご存知の方も多いと思います。トークセッションではAROMASTICのコンセプトが生まれるまでの経緯や嗅覚のしくみについて等々、お話しいただきました。参加者の方々は興味深く藤田氏のお話を聞いている様子で、トークセッション終盤の質問コーナーでは質問者が後を絶たないほど。
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グループディスカッションでは、他業種のデザイナーによるオープンなディスカッションが行われ、会場は終始にぎやかで、真剣に語る声や笑い声が飛び交っていました。また、藤田氏からはAROMASTICの実機をご持参いただき、参加者のアイデアデベロップメントに大いに役立ちました。
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参加者の方々にはこのアイデア共創の場より得たインスピレーションを活かしつつ、日々の生活のなかにも知覚についてのインサイトを持っていただければと思います。

ちなみに私個人は、旅と知覚はとても相性がいいのではと思います。
外国のマーケットの色彩やローカルフードのにおい、異なる言語と異なる騒音、うまいのかまずいのか微妙なお菓子の味、構造物の質感、光の射し方、温度・湿度等々。
今とは異なる環境下に行くと知覚をフルに使うことになるのですごく楽しいんだと思います。
戻って時間が経つと、あの感覚が欲しくて、またどこかに行きたいなと。

ひょっとしたら日常からの逃避は新たな知覚を欲しているとういことかもしれません。意外なことにそこで得た感覚を割とはっきりと記憶している。そういったインスピレーションたちが日々の創造の糧になるのではと思います。
(文責:小林)

2017年7月12日

シリコンバレー“Google plex ”視察に見る“働き方の理想と現実”

前回の記事に続き、”視察に見る“働き方の理想と現実”を紹介したいと思う。

Googleでは、働く時間の長短は評価にまったく考慮されず、
いかに自身の携わっているプロジェクトにプラスの影響を与えられたかが評価指標の中心となっている。
したがって、勤務時間中であろうが、仕事の効率や自分のパフォーマンスを上げるためなら、
いつどこで何をしていても構わないというのが、Googleの社員全員に根差す思想なのである。
9時から18時が規定の働く時間となってはいるものの、コアタイムという考え方でもなく、
7時、8時から働くこともあれば、そうでないこともあり、8時間毎日働くということもない。
とはいえ、様々な人と関わり仕事するので、WEB会議なども多用されている。
中にはGoogleが提供する移動用バスの中でもPCやスマホでWEB会議を始める人もいるそうだ。

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またここでの働く姿勢として、上司から何か指示をするということはほとんど無いそうである。
何をすればチーム、あるいはプロジェクトに貢献できるかを個人が考え動く。
Googleの企業理念としてトップダウンではなく、ボトムアップでなければ、
革新的な創造は生み出されない、という考えが基本にある。
これもこのような働く姿勢に反映されているのであろう。

そしてマネージメント層は、自身の管理する人をパフォーマンスの観点で評価しなければならない。
評価はその結果がプロジェクトにプラスであったか、どのくらい貢献できたかで計られる。
もちろんマネージャーそれぞれによって視点や計り方にばらつきがでるので、
評価委員会が設置されており、常に監査され公平に評価できるシステムになっている。
この評価基準については本もでているので、そちらを読んでいただければと思うが、
GoogleからFacebookやTwittterなどさまざまなIT企業に出ていく人も多く、
Googleのこの人事制度は部分的にいろいろな企業に広がっているようである。

人事制度の話から次の話題に移るが、Google plexには毎週200人くらいの人が新しく入ってくる。
その新人向け研修プログラムが用意されており、必ず月曜日に入り、木曜日に卒業する研修をうける。
その卒業時には頭にプロペラがついたレインボーのキャップをかぶり、
卒業を祝福されるというのが、笑えるバカバカしい習わしであると言っていた。
毎週200人入ってきても、同じくらい辞めていく人もいるとの事で、総数は常に20,000人くらいに
均衡が保たれているそうである。

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つまり、これだけ理想的な環境、正当な評価制度が整っていても、
その自由を与えられている状況の維持には、
パフォーマンスを上げ続けなければならないという責任が大きくのしかかっているのである。
だからこそ人がどんどん入れ替わるのであろう。
ただしそれは人を歯車として使い捨てるという考え方ではない。
自由と責任のトレードオフの中で、
やりがいと生きがいを満たしながらハイパフォーマンスを発揮するという、働き方の理想的な姿がある。

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もう一つここシリコンバレーで働くことについて、話しておこう。
ここで生活し、働くという事の課題は、生活費の異常な高騰である。
シリコンバレー周辺、サンフランシスコ市内に住み、働くことは容易ではない。
家賃は跳ね上がり、たとえばフェニックスとシリコンバレーとでは、
同じ間取り、同じ広さの家でも20倍もの違いがあるらしい。
かたや800万円くらいの家が、同条件で1.6億円くらいするという。
そして、なんとシリコンバレーに住んでいる人は円換算で年収1200万円以下だと生活補助がでるらしい。
1200万というとそこそこ稼いでいる方と思うが、それでも生活できる水準ではないようだ。
多くの人は独身時代は比較的安いサンフランシスコ郊外に住み、子供ができたくらいで、シリコンバレー周辺に
引っ越す人が多い。これはシリコンバレー周辺の教育水準、学校の水準が高いからとのこと。
しかしそのプレッシャーは凄く、子供だけではなく、親にもプレッシャーが重くのしかかる。
プレッシャーに耐えきれず自殺する人の数も増えているようである。
そのような弊害もここにはあるようだ。

シリコンバレーの生活のリアルを垣間見るには、海外ドラマの『シリコンバレー』(日本ではHuluで配信中)が、
とてもよく描いており、“シリコンアバレーあるある”がたくさんすぎて、直視できない人も多数との事。
私もまだ見たことがないので、シリコンバレーの住民にそう言わしめるドラマは是非見てみたいと思った。

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最後に観光客もGoogle Plexには結構来ており、家族が案内している姿も多く見かけた。
グローバル企業でこのように恵まれた環境を家族に見せられるという、
社員にとってここで働くことの誇りを家族と共有できるというのが、素晴らしい企業だなぁと感じた。

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日本でも今、政府主導で「働き方改革」が進められている。
テレワークの推進や女性パワーの活用、残業の削減など、
どれももっともであるかもしれないが、本質ではないような気がする。
各企業が力を最大限発揮するには、やはり社員の力を最大化する他ない。
その中で企業とそこで働く人の関係性を考え、お互いが妥協ではなく、
お互いを信頼し、ともにHAPPYとなる関係作りが大切だと今回のGoogle視察を通し感じた。

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(文責&写真:兵頭)

2017年6月14日

シリコンバレー“Google Plex ”に潜入

私は5月アメリカ西海岸で実施のプロジェクトのため、2週間渡米していた。
その最中でシリコンバレーの“Google”本社に行き、知人にGoogleの働き方を
インタビューする機会を得たので、その時のお話をしようと思う。

Googleの働き方、本社の様子などは様々なところで書かれてはいるが、
私が今回見聞きしたことを改めてまとめたいと思う。

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言わずと知れたグローバルIT企業Googleであるが、その始まりは1998年スタンフォード大学の
2人の学生、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンによって彼らの在学中に創業された。
彼ら2人を始め、Googleには有名なタレントが何人もいるが、
ここGoogle Plexでは普通に歩いていたりと身近な存在のようである。
もちろんセルゲイ氏が進めるGoogleXの活動などは、ほとんどの人が知る由もないというのは、事実のようだ。

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ここGoogle Plexには約20,000人の社員が常時いる。
多国籍の人々が集まり、アメリカ市場だけではなく、常にグローバル市場を見据え、サービスを創造している。
そして、その20,000人が如何にパフォーマンスを上げられるか、そのために企業ができることを最大限に提供しているのが、Googleという企業のあり方なのである。

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約40ものビルが敷地内にあり、それぞれのチームがチームごとに配置されている。
だいたい3~4階建の低いビルばかりである。
そしてその一つ一つに食事を提供するレストランが設置されている。
これは仕事中いつでも食事を取ることができ、社員の健康と働く時間の確保を効率よくするためである。
もちろん他のビルのレストランに行って食べる事も出来、それぞれのビルで提供するメニューが違う。
あるビルではハンバーガー、あるビルではメキシカン、あるビルではラーメンなども提供されている。
気分に合わせて社員は食べたいものがあるところを回っているようだ。
ちなみに話を聞いた知人は、以前日本にいたこともあるイギリス人デザイナーなのだが、
ここのラーメンはまずいと言っていた。
お昼時には生演奏のバンドが来て、中庭で演奏をしていたりと、とてもリラックスできる環境であった。

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またカフェもいろいろな場所にあり、そこで仕事するのも、コーヒーを飲むのも、
自分で飲み物を入れたりするのも自由にできるようになっている。
こちらも無料である。

Macユーザーが多数いたのも、当たり前なのだが新鮮な発見であった。
フィットネスジム、ボーリング場など、いつでも利用することができる。実際、時間に関係なく利用されている。フィットネスジムでは様々なプログラムも用意されており、ヨガやボクササイズなどもあるそうだ。

次回は、“Google Plex ”視察に見る“働き方の理想と現実”を紹介したいと思う。

(文責&写真:兵頭)

2017年5月29日

CES ×TRINITY 出張セミナーのご案内 ~最新テクノロジーから読み解く次世代の価値観・ライフスタイル~

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近年注目を集めるCESの大規模な展示内容から、最新テクノロジーのその先にある次世代の価値観・ライフスタイルをトリニティならではの視点で考察。
製品開発の実務に役立つ内容です。
<特徴>

1. 膨大な展示を横断的・俯瞰的に網羅して取り上げ、個々の展示やトピックの紹介にとどまらず、テクノロジーの先に見える“新たな価値観・ライフスタイル”を読み解き、提示。通常の視察業務だけでは掴むことが難しい、未来の予兆を確実に掴むことができます。

2. また、紙面は豊富なビジュアルで見所をわかりやすく解説。最新テクノロジーの動向と合わせて、製品開発の実務に活用できるレポートです。

3. レポートメンバーは3名のリサーチャーで構成。デザイントレンドに精通するメンバー、UI・UXのプロフェッショナルのメンバーに加えて、現地のテクノロジーリサーチャーへのインタビューも加えてレポーティング。

製品開発やデザインの現場では、来るべき未来における価値観・ライフスタイルの動向を予測することが欠かせませんが、その一方でテクノロジーへの精通なくして新たな時代を想像することは難しくなってきました。

毎年1月、ネバダ州ラスベガスで開催される国際家電見本市である、CES(Consumer Electronics Show)。
近年ではConsumer Electronics=家電という枠組みを超え、スマートホーム、モバイル、自動車(コネクテッドカー)、3Dプリンタ、ドローン、VR等、最新のテクノロジーによる様々なデバイスが展示されるようになっています。
このCESを、従来的な視点だけでなく網羅的な視点も加えてレポーティングすることで、既に現地を視察された方にも新たな気づきをプラス。
視察の総仕上げにこそご活用頂きたい、トリニティ・オリジナルのセミナーです。

<概要>
出張セミナー
(レポートのプレゼン+質疑応答、計1時間想定)

<主な内容>
1.TRINITY  Research Analysis
・開催概要
・トレンド情報
~トレンドを読み解くキーワード
2.CES 2017  Highlights
・カンファレンス
・自動車関連
・スマートホーム&家電
・ヘルスケア&ウェアラブル

納品物:レポート(製本1部、及びPDFファイルを収納したCD-R)
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2017年5月29日

渋谷キャスト・オープニングイベント ~共創は新たなるステージへ~

_mg_9517re去る4/29日、渋谷で新たな商業施設がオープンした。その名も「渋谷キャスト(SHIBUYA CAST.)」オープン2日目のイベントに参加してきたので、ここに簡単に報告をしたいと思う。

大型連休の初日は温暖な快晴から一点、夕方にもなると気温もぐっと下がり、突風吹き荒れる中でのイベントとなった。

冒頭、国内・海外を問わずコワーキングスペースにおける草分け的存在であり、今回の渋谷キャスト誕生の中心的役割を担った、シェアオフィスco-lab運営の春蒔プロジェクト代表の田中氏の挨拶からイベントは始まった。
この渋谷キャストにも、co-lab SHIBUYA CAST.として入居している。

渋谷キャストは実に6年間の歳月をかけてできた、共創プロセスによる特殊な成り立ちによって誕生した商業施設であり、この日のイベントに登壇したクリエイター達は、いずれもその中核をなすメンバーであるということだった。

その面々には、ノイズアーキテクツ豊田氏やライゾマティクス齋藤氏をはじめ、かつてプロジェクトでご一緒してトリニティとも馴染みのある、錚々たる顔ぶれが並んでいた。

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ここで簡単に渋谷キャストの構成に触れておくと、住居・オフィス・商業店舗の3つで構成されたビルとなっている。まず上層階には80戸の賃貸住宅、その下がオフィス階、さらにその下にコワーキングスペースのco-lab 渋谷キャストが入居、そしてその他商業店舗が入るという構成だ。

渋谷キャストの特筆すべき点としては、施設デザインをはじめビルの成り立ち全般に渡り、共創プロセスによる“集合知”を用いた、ということだそうだ。

名称の由来にもなっている”キャスト”の意味は「配役」だが、このビルの建設に関わった多くの人たちやクリエイター、そして正面のキャットストリートを行き交う人々がこの空間で輝く登場人物となるように、という思いが込められているという。

また、“キャット”ストリートの入口に面していることもネーミングには含まれているそうだ。

この敷地には、元々都営住宅が立っていた。その再開発にあたり、東京都は70年定期借地のコンペを実施した。このコンペに際し、名乗りを挙げたのが東急不動産だった。今回の施設設計を従来とは異なるプロセスで進めたい、と考えた彼らがプロジェクトの最初期に声をかけたのが、前述のシェアオフィス、co-labを都内に多数展開する春蒔プロジェクト株式会社だった。既に各所のco-labにて“場”と“クリエイター”を繋いできた実績を持つ春蒔プロジェクトが参画したことで、“大型複合施設を共創でつくる”新たな試みは一気に加速することになる。これまでに彼らが培ってきたネットワークを駆使して、新しい時代の渋谷の街づくりに相応しいクリエイターたちが続々とキャスティングされていった。また、大手設計会社の日本設計もプロジェクトの中核に加わって、大型複合施設の開発としては前代未聞の特殊なプロジェクトチームが結成されていったという。

春蒔プロジェクトは、以降も入居するシェアオフィスのco-lab渋谷キャストだけに留まらず、施設全般の企画・運営として多彩な“キャスト”達の中心的役割を担うこととなった。

個性ある人々が集まり、コラボレーションによってこの場所を作って行きたいという思いのもと、皆で意見をまとめながらプロセスを進めていくその様子は、さながら“1本の映画のよう”だったという。これまでの大型建築はあるひとりの象徴的な建築家が作り上げるものだったが、今回は文字通り、様々な“キャスト”が参加して作りあげた。それも、この規模で実現できたことが大きいのだという。

これはデベロッパーや設計会社にとって、かなり特殊な体験だったという。

そんな思いから、今回のオープニングイベントも、大勢のキャストが集う映画の新作発表会をイメージしたという。登壇者の足元には、このために敷かれたレッドカーペットが垣間見えた。

渋谷キャストという空間が目指したものは、元々都営住宅であったというバックグラウンドも考慮して、多様な居住のあり方を実現することと、この場所を起点とした街づくり。大きな広場を設けて、新しいものに出会ったり、くつろいだりすることができる、歩いて楽しい街の基点となること。

そして創造性を刺激する、クリエイティブな空間であること。人が実際に集まってクリエイティブをできる場所、新しい気づきがある場所。コラボレーションを誘発し、新しいものを生み出していくという“共創の仕掛け”については、計画段階からかなり意識的にとりいれたということだ。

そのコンセプトの興味深さもさることながら、関わったクリエイター達の話も大変、面白かったのでここにさわりを紹介する。

当日のイベントには登壇されなかったが、CMFデザインには玉井美由紀氏が携わっている。

玉井氏も、かつてCMFという概念が国内で今ほど認知されていなかった時代に、トリニティのパートナーとして共にプロジェクトに携わって頂いた、旧知の関係だ。今回、建築にCMFの概念を導入し、「不揃いの調和」と題したデザインコードを導入した。キービジュアルのマテリアルボックスを作成し、CMFをボックスで提案。キーコンセプトとなるビジュアルをもとに建物をつくるというアプローチを行った。

結果、一見バラバラなようでいて、まとまりのあるものが作れたのでは、とのことだ。

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ファサードとランドスケープデザインを手掛けたのは、ノイズアーキテクツ豊田氏。

ファサードが動いてるような、変化を感じられる表現を目指したとのこと。渋谷の集う人々の、多様性ある雰囲気を出したいが、物理的にファサードを動かすことは無理、しかも構造上室外機がファサード側にあるという制約の中で、単純な構造の組み合わせを駆使して見る側が動的に動き回ることにより、異なる表情を見せる表現を実現したという。

B1Fの通路部のインスタレーション、及び照明の演出にはライゾマティクス齋藤氏、有國氏。単なるサイネージではない、この場だからこその恒久的な表現を実現できないか? ということで実現したのは、「建築×映像×音像」を目指した壁面サイネージによる作品で、a + xyzという意味が込められた“axyz”。

27台のスピーカーを設置。見る視点で像は変わり、常に変化し続ける三次元空間上の世界を映像と音で表現。すべてのスペース、ファサードがアーティストのキャンパスとして使われる、新しい公共空間での取り組みを目指した。

「そろそろ渋谷の人間が、業界を横断して打ち出していかないと東京が全部同じになりそうで」とライゾマティクス齋藤氏は語る。

_mg_9576株式会社prsmの藤代氏は、全80戸の賃貸住宅部分のうち、13階にあるシェアハウス「コレクティブハウス」に入居する住人代表として登壇。現在、藤代氏は渋谷、逗子、長野県の小布施と3拠点での“多拠点生活”を実践している。この13階コレクティブハウスでは、藤代氏と同じく多拠点生活を行う人たちが集い、ワンルームの部屋を入れ替わり4人で使うなどすることで、19世帯に実に40人が住むという特殊な状況になっているという。その結果、全住人をあわせて100拠点・100職種と呼べるほどの顔ぶれを実現。藤代氏はこのコレクティブハウスのコミュニティ運営の中心的役割を担い、コミュニティ自体も法人組織化するとのことだ。

このコレクティブハウスを手がけたのは成瀬猪熊設計事務所。空間的な特徴として、各戸にキッチンやユニットバスなどの水回りが全部揃っているにも関わらず、共用スペースにはキッチンを備えた「リビングダイニング」を設けた。従来の集合住宅における部屋の「内」と「外」、そして「共用スペース」の概念を覆す、かなり野心的な設計となっているという。

一種流行語化している“共創”という言葉の本質に違わず、設計プロセスから住人の“住まい方”に至るまで、その全てに共創的なプロセスが存在する、そのような空間がかつてこれほどの規模で、果たして存在したことがあっただろうか。

2020年の東京オリンピックを控え、さらなる変貌を遂げようとしている東京。そんな中、そのさらに一歩先を行く“2027年”の完成に向かって進化を続ける街、渋谷から、新しいプロセスによる、渋谷を愛する物たちの手による共創空間が出現したことは大変感慨深いものがある。共創の新しい時代の幕開けは、ここから始まるのかもしれない。
(文責:岡村)

渋谷キャスト(SHIBUYA CAST.)
http://shibuyacast.jp/

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