トリニティ株式会社

TIPS by Trinity : VUCAの時代に折れない。レジリエンスを支える「胆力」と3つの基礎体力

外部に目を向けつつ、翻弄されない「自分軸」

先行き不透明で予測困難な時代。
いま私たちは、そんな「VUCA」の空気を日常の中で実感する場面が増えています。

VUCAとは、

Volatility(変動性)/Uncertainty(不確実性)/Complexity(複雑性)/Ambiguity(曖昧性)を表す言葉です。

元々は1990年代に軍事領域で使われ始めた概念ですが、近年はパンデミックやAIの急速な発展などによる社会構造の変化を背景に、ビジネス環境を語るキーワードとして再び注目されています。

こうした状況では、「昨日までのセオリーが明日には通用しない」ことも起こりえます。外部環境の変化を正しく見立てる視点は欠かせませんが、同時に大切になるのが、外部に目を向けつつも翻弄されすぎないための “自分軸” です。

ウェルビーイング(心身の健康・幸福な状態)の議論でも、他者との良好な関係性と並んで、「自分軸で思考し行動すること」の重要性が語られます。これは、ビジネスの現場にもそのまま当て嵌められるのではないでしょうか。外部の動向や影響を注視しながらも、「自分たちはどうしたいか」を起点に考えること。変動性が高く不確かな時ほど、つい後回しにしてしまうこの感覚こそ、VUCA時代には改めて重要になります。

レジリエンスに欠かせない「胆力」を鍛える

VUCA時代のレジリエンス(困難にしなやかに適応する弾力性)を考える時、鍵になるのが「胆力」だと思います。
不測の事態に直面した時、守りに入り過ぎず、必要な決断を下す力。状況に動じず、主体的に舵を切るための “度胸” です。

パンデミックが発生した時期、外出や人との接触が不可欠な事業は大きな打撃を受けました。接客業は特に大変だったと思います。私がお世話になっていた鍼灸師の方も、来客が激減して動揺されていました。

出典:CANVA

そんな中で印象に残っているのが、その鍼灸師のお知り合いのネイリストの方の話です。コロナ禍の初期段階で、世間がまだ「数ヶ月で収束するかもしれない」と楽観視していた頃に、長期休業を決断したというのです。早めに見切りをつけ、勉強などに時間を充てることにしたそうで、その潔さに驚きました。もしかすると以前から「成長のための時間を取りたい」という願望があり、それを実行に移されたのかもしれません。

また、「ピンチをチャンスに変える」という意味で分かりやすい例として、酒造会社の「獺祭」を思い浮かべる方も多いでしょう。経営悪化に陥り杜氏たちが去るという危機を契機に、温度管理などの匠の技をデータで管理する製造法へ転換し、高品質と高生産性の両立に成功した——いわば “今で言うDX” を早くから実践した例とも言えます。

こうした大きな転換や決断には、やはり胆力が必要です。そしてその胆力は、”根性” だけで生まれるものではありません。胆力を支える「基礎体力」があってこそ、いざという時にブレずに判断できます。

その基礎体力が、自律性・柔軟性・創造性だと考えます。

胆力の基礎体力:自律性・柔軟性・創造性

◉ 自律性(周りに流されない)

イソップ寓話の「うさぎとかめ」は、誰もが知っている物語でしょう。
一般的には「油断大敵」「努力は才能に勝る」といった教訓で語られがちですが、別の見方もあります。

2018年放送のドラマ『僕らは奇跡でできている』では、この寓話をこんな風に読み解くエピソードがありました。
主人公の大学講師は、少年がうさぎとかめの絵を描いているのを見かけてこう問いかけます。「かめは、なぜ寝ているうさぎを起こしてあげなかったのだろう?」と。

後日、少年が熟考の末に導き出した答えをその大学講師に伝えたところ、彼と同じ解釈をしていたことがわかり、二人は意気投合します。

二人が導き出した答えとは——

「かめは、最初から競争などしていなかった」。

かめは、自分の低い目線で広がる景色を楽しみながら、一歩一歩進んでいただけ。気づけば結果的に、うさぎより先にゴールに着いていた。

それならうさぎを起こしてあげても良かったような気もしますが、それはさておきこのかめの姿は、「自分の判断軸で行動する」=自律性の象徴として、とても分かりやすいと思います。他者との競争が原動力になる人もいるでしょう。しかしVUCA時代にそれを続けると、消耗戦になりかねません。

周囲の意見を尊重しつつも、最後は自分の意思で決め、責任を引き受ける。
この自律性が、VUCA時代のレジリエンスの要になります。

◉ 柔軟性(衝撃を吸収する)

「柳に雪折れなし」ということわざがあります。
柔らかくしなやかなものは、堅いものよりもかえって強い——という意味です。

出典:CANVA

レジリエンスという言葉から、つい「頑強さ」を想像してしまいがちですが、変動性が高い時代に必要なのは、むしろ衝撃をしなやかに受け止める柔軟性ではないでしょうか。

たとえば法隆寺の五重塔は、7世紀に建造されて以降、倒壊したことがないと言われています。心柱と各階の構造部が接合されていない中空構造により、地震が起きても揺れを別々に吸収する——この「柔構造」は、現代建築の免震構造にも応用されています。

外部変化の影響を受けたとき、力で抗うのではなく、波を受け止めながら前に進む。その「しなやかな身のこなし」も、VUCA時代の基礎体力です。

◉ 創造性(機転を利かす)

そして、獺祭の例のように「ピンチをチャンスに変える」発想転換ができること。困難に直面したとき、機転を利かせて打ち手を生み出す力——これも、VUCAを味方につけるために欠かせません。

イソップ寓話の「北風と太陽」では、北風が旅人のコートを “力ずくで” 脱がせようとして失敗する一方、太陽は日差しで暖かくし、旅人が “自ら” コートを脱ぐように促します。

力でどうにかするのではなく、相手の自発性を引き出し、行動が自然に生まれるように設計する。この観点は、商品や事業開発にも大いに応用が利きます。

前回の記事で触れたローソンのシンプルショートケーキの例も、発想転換の好例でしょう。原材料の高騰で値上げをしたいが、売れないのは困る。そのジレンマを「果物を外し、後から自由にトッピングできる」という体験価値に転換して解決した——北風と太陽の構図に通じるものがあります。

ユーザー視点で課題を捉え、最適解を導く「デザイン思考」は、この能力を高める有効な方法です。ただし、それだけで十分とは言えません。課題は時間とともに変化します。観察と考察に加え、「自ら問いを立てる力」や、「物事を点ではなく線や面で捉え、仕組みとして考える視野」も必要になります。

アート思考やシステム思考は、その補助線になります。
複数の思考法を組み合わせることで、未来を構想し、持続可能なアイデアへとつなげていけるのです。

個人だけでなく、チームと組織にもレジリエンスが必要

ここまで述べてきたVUCA時代のレジリエンスは、個人が備えているだけでは十分ではありません。組織そのものが “しなやかに適応する体質” を持っていなければ、全員が一致団結し、パフォーマンスを最大化することは難しいでしょう。

そのためには、パーパスの明確化や企業文化の醸成が不可欠です。
さらに、プロジェクトチームのメンバーが互いの個性や能力を活かし、相乗効果を生む共創関係を築くこと。異なる専門性や言語を持つ他部署、外部人財・外部組織との連携を建設的に進めることも重要です。新しいチャレンジをするほど、この土台の有無が成果を左右します。

出典:トリニティ株式会社

私たちトリニティ株式会社では、予測困難な時代において企業が自律的に価値を創出し続けるための、人財・組織開発プログラムをご提供しています。
環境の変化に流されず、主体的に考え、未来を構想する力を「人財」「チーム」「組織」に実装する実践型プログラムです。

トリニティの「人財/組織開発プログラム」

出典:トリニティ株式会社

1. 人財育成プログラム

1つ目は、自律性・柔軟性・創造性を育み、自ら考え行動できる人財を育てるプログラムです。

出典:トリニティ株式会社

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1. 人財獲得イベント(インターンシップ)企画&実施
価値観の接点を見出す体験型プログラムを通じて、共感人財の発掘とファンづくりを支援。

2. デザイン思考基礎研修
テクニックではなく、マインドとスタンスを重視し、実務で使える知識へ昇華させる体感型研修。

3. エスノグラフィ基礎研修
「観察」を中心に、本質的な気づきを得るための手法とコツを、事例とワークで学ぶ。

4. トレンドセミナー&読み解きワークショップ
社会潮流から次代の価値観を読み解き、戦略・商品開発へ落とし込む。

5. 先進事例からの価値創出ワーキング(N.E.T.A.マンスリー)
先進事例の共有と考察を習慣化し、価値の言語化・知識化を定着。

6. デザイン思考アドバンス研修
実テーマに即して、メンタリングを受けながら新商品・サービスのアイデア創造を実践。

7. シーズ起点のデザイン思考研修
自社技術・知財を整理し、市場課題と接続して新たな活用可能性を構想。

8. デザイン×システム思考研修
ステークホルダー関係を俯瞰し、事業の永続性・有効性を高める仕組みを検討。

9. デザイン×アート思考研修
固定概念を外し、「自分起点」の問いや視点から新しい意味(価値)を見出す。

10. デザイン思考社内研修講師養成講座
社内で自走して研修を回すための、レクチャーと運営スキルを育成。

2. チーム/組織間連携プログラム

続いて2つ目は、個人をつなぎ、相乗効果を生み出すための仕組みとスキルを育てるプログラムです。

出典:トリニティ株式会社

・DXDキャンプ

未来構想と実践を往復しながら、事業課題を創造的に解決する力を鍛える越境型の人材育成プログラム。
→ 第12期・2026年度ウィンターキャンプ(2026/10/30 – 2027/3/12)参加申込受付中!

DXDキャンプDXDキャンプ

dxdcamp.com

1. ファシリテーション基礎研修
対話を前進させ、チームの主体性を引き出すための基本スキルを体得。

2. ワークショップ設計&質問力向上研修
目的に応じた場の設計と、インサイトを引き出す問いの技術を習得。

3. 組織の創造性を活性化する仕組みづくりサポート
創造性を個人任せにしないためのKPI・ルール・環境整備を設計し、運用まで伴走。

3. 経営/文化醸成プログラム

そして3つ目は、ビジョンや価値観を共有し、変化にしなやかに対応できる企業文化を育む取り組みです。

出典:トリニティ株式会社

1. パーパス/フィロソフィ策定&浸透支援
意思決定と行動の拠りどころとなる「軸」を言語化し、浸透まで支援。

2. デザイン経営研修&運営サポート
デザインを経営の共通言語として活用し、価値創造を推進する体制と実装を支援。

プログラムは、状況に応じて柔軟に組み合わせ可能です。

上記のラインナップを骨組みにしつつ、各社の状況・制約・優先順位に合わせて、時系列での実施/部分導入/カスタマイズが可能です。「いま抱えている課題」から逆算して、最適な進め方をご一緒に設計します。

ここでは、よくあるお困りごと別に、活用イメージを3つご紹介します。

出典:トリニティ株式会社

活用パターンA|事業/商品/サービス創造力を獲得したい

課題例
外部環境の変化で既存事業が弱体化。次の柱となる新規開発が急務だが、担い手となるマインド/能力を持つ人財が不足している。

目指す状態
新事業の方向性が明確になり、社員が主体的にアイデアを生み出す「風土の起点」ができている。

進め方(例)
・まずは デザイン思考基礎研修 で、組織に共通言語となる“思考の型”をインストール。
・推進役となる人には デザイン思考アドバンス研修 で、実テーマでの実践を後押し。
・並行して 創造性を活性化する仕組みづくりサポート で、学びが現場に定着する仕組みへ。
・必要に応じて パーパス/フィロソフィ策定&浸透支援 とつなぎ、意思決定の軸を揃える。

出典:トリニティ株式会社

活用パターンB|価値創造力を “組織として” 底上げしたい

課題例
デザイン思考を導入したが、個人差(得意不得意)で実務に定着せず、成果が再現できていない。投資を活かしながら次の手を打ちたい。

目指す状態
デザイン思考を軸に、複数のアプローチを使い分けながら、各自が得意な方法で価値創造に取り組めている。経営側にも理解があり、後押しされる状態。

進め方(例)
シーズ起点のデザイン思考/デザイン×システム思考/デザイン×アート思考 などを組み合わせ、アプローチの引き出しを増やす。
仕組みづくりサポート で、“個人技”から“組織技” へ(運用・ルール・KPI等)。
・併せて デザイン経営研修&運営サポート を実施し、経営レベルでの理解と推進体制を整える。

出典:トリニティ株式会社

活用パターンC|組織活性化・エンゲージメントを高めたい

課題例
エンゲージメント低下、若手の離職、価値観の固定化やサイロ化が進んでいる。トップダウンで変革を進めても “形だけ” になりやすい。

目指す状態
自社らしい価値観に共感する人材が入り、既存メンバーとともに新しい価値観が組織に伝播し始めている。

進め方(例)
・最初に パーパス/フィロソフィ策定&浸透支援 で、組織の軸と言葉を揃える。
・その価値観に共感する人材と出会うために 人財獲得イベント(インターン) を企画・実施。
・新しい価値観を広げる “武器” として、 ファシリテーション基礎研修/ワークショップ設計&質問力向上研修 を並行実施し、対話と共創の土台をつくる。

文:トリニティ株式会社・篠﨑美絵

最後に

ここで挙げたのは、ほんの一例です。
VUCAの時代は、正解が一つではなく、状況も刻々と変わります。だからこそ、外部の変化を見ながらも「自分たちはどうしたいか」という軸を持ち、人財・チーム・組織としてレジリエンスを高めていくことが、これまで以上に重要になります。

トリニティでは、各社の課題に丁寧に耳を傾け、共に考え、現場に実装するところまで伴走しながら、最適なプログラム設計をご提案します。
ご相談ベースでも構いませんので、ご興味のある企業・団体の方は、ぜひお問い合わせフォームよりご相談ください。

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