経営に届く言葉を持ち、AI時代の組織を再定義する。
異業種勉強会「トピックス2026」が始動
公開:2026年7月3日 更新:2026年7月3日
企業内のデザイン部門・クリエイティブ部門に求められる役割は、いま大きく変わりつつあります。依頼されたデザイン案件を高い品質で仕上げることは、もちろん重要です。けれど、それだけでは部門の価値が経営に正しく伝わらず、評価や投資、人員の判断において組織の可能性が小さく見積もられてしまう。そうした場面が、いま確実に増えています。
自部門の活動は、企業価値や事業成長にどう貢献しているのか。他部門と、依頼・納品の関係にとどまらず、構想段階からともに価値をつくれているのか。生成AIの進化を、個人の業務効率化だけでなく、組織の創造性やマネジメントの更新につなげられているのか。マネージャーであれば、一度は突きつけられたことのある問いではないでしょうか。
こうした問いに、1社だけで向き合い続けるのは簡単ではありません。だからこそ、異業種のインハウスクリエイティブ人材が集まり、自社の課題を他社の実践と照らし合わせながら、次の一手を考える場が必要です。
トピックスは、2008年から続く、企業内クリエイティブ人材の異業種勉強会です。15年以上にわたり業界を越えて集い、つながり、学び合うことで、企業内におけるクリエイティブ組織の価値を高めることを目指してきました。
2026年度のテーマは、「インナーコミュニケーション/クリエイティブ組織の再定義」。6月26日(金)、東京ミッドタウン・タワー5Fの公益財団法人日本デザイン振興会 インターナショナル・デザイン・リエゾンセンターにて、第1回がスタートしました。
トピックス2026のプログラムと狙い
今年度のトピックスは、次のような課題意識を持つインハウスデザイン/クリエイティブ組織に向けたプログラムです。
・自部門の価値を、経営層や事業部門に伝わる言葉で整理したい。
・依頼を受けて応えるだけでなく、事業やブランドの構想段階から関わる組織へ変わりたい。
・生成AIの進化を、業務効率化にとどめず、クリエイティブプロセスやチームマネジメントの再設計につなげたい。
・若手やミドルマネージャーに、社外との対話を通じて自部門の役割を捉え直す機会をつくりたい。
・他社のクリエイティブ部門が、同じ課題をどのように捉え、次の一手に変えているのかを知りたい。
業界が違うからこそ、自社固有の事情と、多くの企業に共通する構造的な課題の両方が見えやすくなります。トピックスは、他社事例を集めるだけの場ではなく、自社の組織を動かす問いを持ち帰るための場です。
今年度に深める2つの視点
2026年度は、「経営に届く価値発信」と「AI時代の組織変革」という2つの視点から、クリエイティブ組織の再定義に取り組みます。
1. 経営に届く言葉を持つ。「社長へのラブレター」
クリエイティブ組織の価値は、日々の成果物だけでは伝わりきらないことがあります。良いデザインをつくっている。ブランドらしさを守っている。ユーザー視点で提案している。それでも、経営層や事業部門から見たときに、その活動が企業価値や事業成長にどうつながっているのかが伝わらなければ、組織の可能性は限定的に受け止められてしまいます。
「経営と話そう!『社長へのラブレター』」で目指すのは、単なる活動報告ではありません。経営の関心や事業の文脈を理解したうえで、自部門の価値を経営に届く言葉で語れるようになることです。それは、クリエイティブ組織が「依頼に応える部門」から、「企業の未来をともに構想するパートナー」へと進化するための第一歩でもあります。
2. AIを使う組織から、AI時代に価値を生む組織へ
生成AIは、すでに多くのクリエイティブ現場に入り始めています。しかし、本当に問われているのは「AIを使えるかどうか」だけではありません。AIによって、クリエイティブプロセスはどう変わるのか。人が担うべき価値はどこに移るのか。チームで考える意味はどう変わるのか。マネージャーは、何を見て、何を育て、何を評価すべきなのか。
今年度の「AIでかわるポストマネジメント」では、特定ツールの使い方ではなく、AIの進化によってクリエイティブ組織のプロセスやマネジメントがどう変わっていくのかを考えていきます。AIがあることを前提に、人は何を担うのか。チームで考える価値はどこに生まれるのか。その問いを、参加各社の現場感覚を持ち寄りながら深めていきます。
第1回:他社の現在地を鏡に、自社の問いをつくる
第1回の目的は、各社の活動紹介を聞くことだけではありません。参加企業がそれぞれのクリエイティブ部門の現在地を持ち寄り、他社の実践や悩みと照らし合わせることで、自社だけでは見えにくい課題や可能性を捉え直すことにあります。
当日は、参加企業11社のクリエイティブ部門が集まりました。公益財団法人日本デザイン振興会 常務理事の矢島進二さんにもご挨拶をいただき、異業種の企業内クリエイティブ人材が学び合う場として、今年度のトピックスがスタートしました。
会場では、各社の発表を聞きながら、参加者が手元にメモを重ねていく姿が印象的でした。発表は単なる活動紹介にとどまらず、「自社にとってデザインとは何か」「AIによって何が変わったのか」「いま経営に何を伝えたいのか」といった、各社の切実な問いに踏み込む内容でした。
振り返りで特に印象的だったのは、「便利屋になりがち」「説明できるように準備すればするほど、デザインが丸くなる」「AIでつくられたイメージを、どう判断していくのか」といった、現場に近い言葉が次々に出てきたことです。どれも個別の悩みに見えながら、実は多くのインハウスクリエイティブ部門に共通する問いでもあります。
生成AIについても、単なる活用有無ではなく、「AIの出力はきれいだが、どこか面白くない」「効率よく作られたものより、考え抜かれたプロセスに価値があるのではないか」といった声がありました。AIが当たり前になる時代だからこそ、人が何を感じ取り、何を選び、何を問い直すのか。その役割が、より強く問われていることが見えてきました。
第1回は、他社の取り組みを知る場であると同時に、自社の中でまだ十分に言葉になっていなかった違和感や問いを、参加者自身が持ち帰れる形にしていく時間でもありました。トピックスで得られるのは、他社の成功事例リストではありません。自社の現在地を外から見直し、部門内の会話や、経営・他部門との対話につなげるための問いと言葉です。
初回から見えてきた、今年度の核心
第1回を通じて見えてきたのは、企業内クリエイティブ組織が、共通して大きな転換点に立っているということです。依頼されたものを形にするだけでは、組織の価値を十分に伝えきれない。一方で、経営や事業に近づこうとすればするほど、自分たちの言葉だけでなく、経営の言葉、事業の言葉、企業価値の文脈も理解する必要があります。さらに、生成AIの進化によって、クリエイティブのプロセスやチームマネジメントそのものも変わり始めています。
だからこそ今年度は、経営にどう伝えるのか、AIによって何が変わるのか、そして自社のクリエイティブ組織の価値をどう再定義するのかを、年間を通じて考えていきます。第1回は、参加各社がその問いを自分たちのものとして持ち帰るための時間になりました。
来年度の参加を検討される方へ
経営に対して、クリエイティブの価値をどう伝えるのか。他部門との関係を、依頼と納品の関係から、共創の関係へどう変えていくのか。生成AIの進化を、単なる効率化ではなく、組織とマネジメントの更新につなげるにはどうすればよいのか。こうした問いは、1社だけで考えていても、なかなか前に進みにくいものです。
けれど、他社の実践を聞き、自社の状況を話し、同じ立場の人たちと対話することで、次に動くための視点が見えてきます。過去に参加を検討された企業の方、以前参加されていた企業の方、そして、インハウスデザイン/クリエイティブ組織の組織開発に取り組みながら、新たな手立てを探しているマネージャーの方。この記事を読みながら、思い当たる問いがひとつでもあったなら、それはトピックスがあなたの組織に役立つサインかもしれません。
来年度以降の参加やプログラムの詳細にご関心のある方は、ぜひトリニティまでお問い合わせください。
次年度の募集に向けたご案内や、これまでの開催内容についてもお伝えできます。クリエイティブ組織の未来を、1社の中だけで閉じず、異業種の仲間とともに考える。トピックスは、そのための実践的な学びと対話の場です。
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