今、デザイナーが身につけるべき 10のビジネスキーワード ~セミナー実施報告~
公開:2015年12月17日 更新:2015年12月17日
12月3日、弊社社長の湯浅と株式会社プラグの小川社長とがパネラーになり、
【今、デザイナーが身につけるべき10のビジネスキーワード】というテーマで、
セミナーを開催しました。当日はインハウスデザイナーの方を中心に、
およそ60名の方々にご参加いただきました。
「強いデザイン部門とは?」
「異業種のデザイナーと交流しているか?」
「デザインはどう決定されるべきか?」
などをテーマに、日頃どのように考え、アクションしているのか、ご参加の皆様からも貴重なお話し伺うことができました。
所属する会社によって、どのテーマでも考え方や、方法に大きな違いがあるのが印象的でした。
満員御礼の代官山SodaCCoの会場風景。
これだけ様々な業種のインハウスデザイナーが一同に会する機会は、
滅多にない?
強いデザイン部門とは
まずは今回のセミナーのメインテーマとも言うべきお題、「強いデザイン部門とは」という投げかけからスタート。いくつかの視点が投げかけられ、またそれに対する考え方や経験が語られました。
強い=人数が多いことなのか、それとも人数ではなくデザイン部門として作り出す価値の質なのか、といったことが議論に上がりました。
人が増えることで競争が増え、切磋琢磨することでデザイン部門が強くなる。
3人くらいの人数だと、依頼される内容が多岐にわたるので役割が定義しにくくて一番微妙な人数かもしれない。
ポルシェデザインやアップルなどは人数が限られているのに、強いデザイン部門なのはなぜなのか。
また、バングアンドオルフセンなどはデザイナーが社内にいないのに、あれだけデザイン力のある商品を世に出せていることを考えると、人数と強さは直接は関係ないのかもしれない。
弊社社長、湯浅とプラグ小川社長。
和やかな雰囲気のもと、トークも弾む。
また、会場からはどのように社内にデザイン部門のミッションや役割を伝え、部門としての存在感、人員を増やしていったのか…といった経験談も紹介され、参加された方々には参考としてだけでなく、勇気になったのではないでしょうか。
強いデザイン部門の特徴としては、ほかにも社長や経営陣と話ができること、そのためにはターゲットユーザーをきっちり伝えること、また強いデザイン部門を社内に認識してもらう方法として、外から「御社のデザイン部門はすごいね」といってもらうことの効果などが会場から紹介されました。
また、デザイン部門のKPIをしっかりと作ることでデザイン部門の役割や成果を見える形にすることの重要性についても触れられました。
異業種デザイナーと交流してますか?
次に、全く異なる業界のデザイン部門、デザイナーとの交流についてディスカッションが進みました。会社によっては、お互いのデザイナーがある一定期間交換在籍をすることで、互いのスキルアップや気づきを実現するといった試みを行っているところもありました。
異業種の情報交流では発見することも多く、自分だけでは追いつけない世の中の情報の流れをつかむ貴重な機会になるといった意見があった一方で、守秘義務の問題や会社の所在地、あるいは会社のカラーが保守的であるといった要因から、異業種デザイナーとの交流の機会が作れていないといった報告もありました。
来場者には◯×カードを使って、問いかけに答えてもらう参加型形式。
会場を積極的に巻き込む形で、トークはさらにヒートアップ。
デザインはどう決定されるか?
デザインの決定に関しては、社長が決める、部門で決める、デザイナーが決める、調査の裏付けをするといったいくつかの決定のプロセスが紹介されました。推奨マークを付けることでデザイン部の考え方や意見を発信する機会をつくるといった具体的なお話や、デザイン部門が一定の決定権をもつ代わりに、ブランド指名制や市場環境と同じような競争環境を作って、報酬に反映させるといったアイデアも出ました。
挙手をして積極的に発言してくださる方が多かった、今回のセミナー。
運営側も、マイクを持って会場を右往左往。
デザイン部門の顧客は誰なのか。最終消費者なのか、ブランドマネージャなのか、社長なのか。長期的にデザインの資産をしっかりと守っていくのもインハウスデザイン部門の大切な役割なのではないか。といった問題も提起されました。
インハウスデザイナーの方々同士が交流する機会はそれほど多くないようですが、時間軸の異なる車などの耐久財のデザイナーと一般消費財を扱うデザイナーとが、それぞれの仕事のやり方を知り、取り入れることで活かせることは多いのではないかと考えます。
セミナー終了後、多くのご参加者の皆様同士でお名刺交換していただきました。
今回のセミナーが異業種交流のきっかけになればいいな、と考えております。
インハウスデザイン部門の方々の活躍の場が増えることで、
社会におけるデザインの価値は今以上に上がると考えています。
そのために、今後も新しい刺激を生み出せる場を作り続けたいと考えております。
トリニティとプラグでは、来年以降もテーマ・やり方を変えてワークショップやセミナーを実施する予定です。
トーク終盤、ディスカッションと会場からの声を書きとどめたホワイトボード。
ビッシリ並んだキーワードが、濃密な時間を物語っている。