第3回新興国ワークショップマラソン (インド・インドネシア版) 無事終了!
公開:2014年10月8日 更新:2014年10月8日
弊社オリジナルプログラム「新興国ワークショップマラソンプログラム」が2014年6月頭から9月末の4ヶ月間(現地視察は8月1日~8日)に実施されました。
本プログラムは、第1回目のインド/中国、第2回目のインドネシア/タイに引き続き、インドとインドネシアの2か国に短期滞在し、現地の「生」の価値観や実情を体験、比較することができる参加型プログラムです。
昨今新興国の情報は比較的よく知られるようにはなりましたが、現地に行って直接見聞きし、その国のトレンドを牽引する若者と討論する経験はなお貴重であり、新興国に向けたリアルな商品/デザイン開発のヒントを得る事ができます。
今回もマルチクライアント形式で行われ、5社5名の参加者の方々と非常に密度の濃い活動ができました。
プログラム内容は、インドのニューデリーとインドネシアのジャカルタの2か国を1週間の過酷なスケジュールで回り、各国の次世代を担う若手デザイナーとのディスカッションや現地視察を行い、そこから彼らの文化や日本の価値観との違い、共通性を体感する~というものです。
インドネシアでのWS風景。「人気のモノ・コトシート」を基に、両国の価値観に関する白熱した議論が交わされた。
今回からは新たにWS参加者の家庭訪問も加え、より深く現地の生の情報に触れてもらえる機会を設けました。
インドでは両親と同居している若者夫婦宅を、インドネシアでは若手起業家女性宅を訪問。
両者とも直前のWSの現地参加メンバーであり、彼らの性格や素性を知った上での家庭訪問により、深い理解を得ることが出来た。
また今回は第1回、第2回目でそれぞれ行った国への再訪問という事もあり、
私自身過去1~2年前との比較も行うことが出来ました。
例えば新興国において、数年前から注目すべき「健康志向」の変化。
インドネシアでは現在、学生や主婦等の「個人」が作って売り歩く「無添加フルーツジュース」が大人気。保存料が入っていないのですぐに飲めなくなってしまうのですが、逆にそれが「ピュアな証拠」としてプラスに受け取られているとのこと。「大企業が発売するものには必ず添加物が入っているので体には良くない」との意見も聞かれました。
日本ではいくら「無添加が良い」といっても、大企業の提供する「安心/安全」より無名の個人が提供する「無添加」を優先する事は考えにくいですが、インドネシアでは「企業と個人の信頼度」が日本の認識と異なるようで、わりと幅広い層に受け入れられているようです。
このような例からも分かるように、これまでは主に富裕層向けオーガニック食品やフィットネスジムが増えてきた~等、「先進国的な価値観がどの程度浸透してきたか」という基準で見てこれた変化でしたが、既に「先進国同等もしくはそれ以上」のこだわり商品も社会に受け入れられてきている一面も見えてきました。
これがどの程度継続して社会に定着して行くものなのか~は今後の更なる動向を見守る必要がありますが、経年変化を追い、常に情報のアップデートを行う事の重要さと、「先進国レベルか否か」という比較軸の見直しの必要性を痛感しました。
また今回は現地の参加者からも多数感想を頂きました。
以下一部ご紹介まで。
<インド>
■Kartik (31歳 男性、自動車部品メーカー研究開発部・副部長。現地WS参加メンバーであり、今回の家庭訪問先。)
I appreciate the well laid out plan for the workshop and the clear agenda that we had. It reinforced my belief if Japanese culture of perfection even further. The interaction with each and every member from your team was fun and a learning experience at the same time. To know someone from the same age group living a few thousand kilometres away and leading a life similar (well, almost!) to ours is indeed intriguing. It was also interesting to know what is the “in thing” in Japan these days. I was amazed by the homework you had done by pasting cards on the big chart paper, categorising the points, etc. it was impeccable.
綿密に練られたワークショップと明確な議題は、完璧さを追求する日本文化の印象を更に強めました。日本人参加者との交流もとても楽しく、学ぶ機会を与えてくれた有意義な体験でした。遠い国に住む同年代が(ほぼ?)似たような生活を送っている事はとても興味深く、日本の流行を学ぶ事も魅力的でした。大きな模造紙にポストイットがカテゴリー別に張り付けられた、日本チームの宿題の細かさには驚きました。
Frankly, I was apprehensive about so many people visiting my home as I wasnt sure if you’d be comfortable. But I really liked the friendliness with which you all approached my family and my family felt the same too. I hope we were able to give you some fond memories to carry back with you.
家庭訪問は、正直なところちょっと心配でした。心地好く寛いで頂けるかと。しかし、とてもフレンドリーに家族に接していただき、家族も安心してお迎えすることができました。日本に持ち帰ってもらえる思い出ができた事を祈っています。
<インドネシア>
■Reinard Tanzil(27歳、男性、ファッション誌のグラフィックデザイナー。今回のメンバーの中で最も情報感度が高く、異文化への興味も強い。)
it’s open up my eyes now about how big this world, how colorful it’s Japanese Culture, Polite people even with their Junior… like me :p my experience in working maybe not as much as you and the others. and this is the first time I meeting with Japanese Team…
you guys are very quick , responsive, also a big thinker it’s good… you guys are very details in every little pieces. i wish i was born as a Japanese haha!
(今回の体験で)世界の広さ、日本文化の豊かさに開眼させられました。日本人との交流は初めてでしたが、みな賢く細部にこだわりを持つ「Big Thinker」であり、まだ経験が浅い自分にとても親切に接してくれました。僕も日本人に生まれていたら!(笑)
this kind of workshop it’s good for every company who wanted to spread the business into another country. you need to make a real survey. with the people, with the environment, with the land of that country.without that maybe you can only find the answer from the Internet. but i think the result it’s gonna be different.
このようなワークショップは、他国に進出する企業にとってとても価値あるプログラムだと思います。人々、環境、文化を実体験する事こそが本格的な調査。もちろんネットで情報を得る事は可能ですが、結果は全く異なるでしょう。
以上、ほんの一例に過ぎませんが、このプログラムの中で自分の肌で現地を感じ、
自ら新たな「気づき」を掴みとってみませんか?
次回は来春辺りの実施を予定しています。
ご興味がある方は、是非参加をご検討下さい!
文責
山口崇
トリニティ株式会社 取締役 / デザインプロデューサー
Adaptive Insight Academy デザイン思考 講師
グラフィックデザインを学んだ後、
メーカーのデザイナー、ブランドコンサルティング会社の戦略プランナーを経て、
現在はトリニティ株式会社にてデザインコンサルティング、デザイン&イノベーション
ワークショップの企画・実施・ファシリテーションを行う。
アダプティブインサイトアカデミーデザイン思考講師も兼任。