トリニティ株式会社

新興国ワークショップマラソン・タイでの出来事レポート

公開:2014年2月24日 更新:2014年2月24日

今回のワークショップでは、日本と相手国の「ステレオタイプ」について収集してまとめることが事前準備の一つでした。フジヤマゲイシャというようにこういうステレオタイプは表面的なものも多いのですが、その偏よった視点「そのもの」が十分面白く、特にタイ人のデザイナーは非常に積極的に説明してくれて時間が足りなくなるといったことも起こりました。

日本側の「ステレオタイプ」の提示として、「タイ人は痩せている」というのがありました。それに関して肯定的なタイ側の説明として面白かったのは、タイ人はスキニー(細い)で、Sサイズの下に後4種のSよりも小さいサイズがあるということ。
たしかにバンコクの街には痩せている女性が多く見られ、太っている方はまれです。

痩せている女性こそが美しいという段階で、先進国の「痩せすぎはアカン」という人たちが現れるレベルには達していないという言い方もできます。
日本ではぽちゃモテが注目されています。もっとも一つ時代をさかのぼれば、痩せている女性は食べるものが少なくて貧乏だから痩せているのであって、ふくよかな容姿こそステータスという時期や国もありました。
インドの一部は今もその良い例でしょう。

ただもうちょっと気軽な話題としては、彼らは食文化として非常に辛い料理を日常的に好んで食べ、いわゆる唐辛子のカプサイシンのダイエット効果もあるのではと思いました。いくつかの南の方のアジア地域やラテンアメリカで香辛料を多用する食文化がいくつかあるようですが、タイ料理の辛さもかなりのものです。食べると発汗し、代謝が良くなるのがわかります。
タイ人の参加者はもちろん太った方はいません。

ワークショップではその辛い昼食をその場で出してもらって食べたのですが、料理の説明なども聞けてランチも学習でした。参加者いわく、どこでも提供される食事は美味しいけど、きっと長い期間食べ慣れれば飽きるよね、というのですが、そうかもしれません。

 

タイでのワークショップのランチの一コマ。
食品のパッケージで青の色使いは日本であまり見かけないもの。

いくつかフィールドワークで回った中間層や富裕層のモールでは、タイ料理もさることながらグローバル展開するファーストフードのチェーンや日本の外食チェーンも多く、世界中で食文化がこうしたチェーンに浸食されて、似た味になっていくのが実感できます。地元料理もフードコートでサービスされ、衛生面ではありがたいのですが、おそらく微妙な味付けや、大量に入手できない材料を使った料理は駆逐されていくのでしょう。少々淋しい。

 

またマスクした店員がプラスチックなどのトレーにポリの手袋で料理を盛るのを見ると、これはエサか、という気にもなりました。

フードコートで食べたデザート。
清潔だが、どこか味気なく感じられる。

マクドナルドは代表的なグローバルチェーン。基本メニューは各国で驚くほど同じ味がします。品質管理の勝利です。ローカルにカスタマイズしたメニューは旅行者にとっては楽しみの一つでもあるのに・・・。

モールにて、「ワイ」をするドナルド(ロナルド)。

マクドナルドは食文化のグローバル化で話題になりますが、タイではドナルド(ロナルド)は合掌(ワイ)しています。ローカル化の身振りですが、その程度の妥協でしょう。

新興国の初期では、マクドナルドはサービス文化と清潔さの輸入でもあったようです。
にこやかな応対とか、衛生に気を使った調理と掃除の行き届いた食べる場所は、
最初は驚くべきものだったはずです。マクドナルドのハンバーガーはそのサプライチェーンにおいて完成度が高く、各国の経済状況をみるのにハンバーガーがいくらするか見ればわかるわけです。

(あなたは異国でマクドナルドの店舗を見て、ここもか、とがっかりするタイプですか? それとも助かったとホッとするタイプでしょうか。)

タイ料理はまだ比較的、中部に限って言えば特定の素材や調理法、味付けで実体があるのですが、今回のもう一つ別の国のインドネシアは「インドネシア料理」としては範囲が広すぎて語れないと言えます。

海洋王国オランダが植民地とした地域がインドネシアの地理的範囲の基礎となっているのですが、この地域の広さはアメリカ合衆国がすっぽり入る広さの上に、島嶼になっていて分断されているので、とても文化的・民族的に統一した地域とは言えず、したがってインドネシア料理は、例えばヨーロッパ料理~というような大くくりの概念になります。

料理を考察するだけで、歴史的に形成されている価値観や文化などを理解する糸口がみつけられます。美味しい料理を味わうとともに、その成り立ちに思いを馳せてください。