2000年代から現在、そして未来へ、
変わりゆくデザイン/デザイナーの役割を
共に問い続けるパートナーに。
株式会社JVCケンウッド・デザイン
取締役 宮森 昭彦 氏
リーディングデザインスタジオ スタジオ長 有本 拓也 氏
×トリニティ株式会社 深澤秀彦
進行:
トリニティ株式会社 大久保泰子
2000年代から現在、そして未来へ、
変わりゆくデザイン/デザイナーの役割を共に問い続けるパートナーに。
JVCケンウッド・グループのデザイン部門であると同時に、独立したデザイン企業としてさまざまなデザイン・サービスを提供しているJVCケンウッド・デザイン。トリニティとのお付き合いはかれこれ20年!数多くのプロジェクトをご一緒してきた深澤秀彦と共に、両社のこれまで、そしてこれからのパートナーシップについて語っていただきました。
株式会社JVCケンウッド・デザイン
取締役 宮森 昭彦 氏/リーディングデザインスタジオ スタジオ長 有本 拓也 氏
×トリニティ株式会社 深澤秀彦
進行:トリニティ株式会社 大久保泰子
トリニティとはとても長くお付き合いいただいています。最初の出会いはいつごろでしょう?
宮森昭彦氏(以降、宮森):2005年に旧日本ビクター株式会社がミラノサローネに出展した際に、そこで湯浅さん(トリニティ代表)にお会いしたのがおそらく最初だと思います。
深澤:プロジェクトとしては2007年にテレビの家具開発をトリニティがお手伝いしましたよね。
有本拓也氏(以降、有本):私も当時そのプロジェクトに加わっていて、他にもトリニティさんが新興国マラソン*とかいろいろやられているのは知っていました。
宮森:新興国マラソンは当社からも参加しましたね。当時まだ日本ビクターとケンウッドが統合される前で、それぞれのデザイン部から何名か参加しました。でもそれより前にもサローネのレポートとかをお願いしたかもしれない。
深澤:そうですね、最初の頃は家具やインテリアのトレンドレポートを作らせてもらったりして、徐々にプロダクトだけでなく戦略づくりにも関わらせていただくようになって。私自身が初めてご一緒したのが2008年のデザイン戦略でした。
*「新興国デザイン思考マラソン」
“真のデザインシンカー”を目指すための実践的若手人材教育プログラム(2010年代前半から実施)
(中)宮森 昭彦氏 (右)有本 拓也氏
これまでご一緒したプロジェクトの中でどんなものが印象に残っていますか?
宮森:2008年のデザイン戦略は、事業環境の変化が大きな時期でした。新しい戦略を作るためには外部の視点が不可欠で、会社を俯瞰して意見をもらうこのプロジェクトは印象的でした。自社中心になりがちな中、デザインが事業にどう貢献するか多くの示唆を得ました。
当時はどんな事業課題があったんでしょう。
宮森:あの頃、テレビのディスプレイ事業は私たちの主力商品でしたが、実は売上が低迷していました。ディスプレイのデザインは差別化が難しい部分ですが、その中でデザインの強みをどう出していくかを一緒に取り組んだことは非常に大きな意味がありました。
深澤:今と比較すると、当時のデザイン戦略はまだプロダクトが中心で、「プロダクトをどう魅力的にするか」でしたよね。形やCMFでいかに差別化するか。そしてそれを戦略的にどう組み立てるかという点は、当時皆さんとプロジェクトを進める上で、ある意味チャレンジングだったなと記憶しています。
宮森:これまでにも個々のプロダクトデザインについては、海外のデザイン事務所やデザイナーへ業務委託するケースはありましたが、より戦略的にデザインの側から会社に提案していきたいという思いがありました。その旨を周囲に相談したところ、デザイン戦略分野で実績のあるトリニティ様をご紹介いただき、貴社にご依頼することになりました。
深澤:当時、デザインスタジオやブランディング・コンサルの会社は多くありましたが、デザインの戦略立案に関わるところは少なかったかもしれません。私の記憶だと、企業のデザイン部の中に戦略の機能が置かれ始めたのがその頃で、特に自動車メーカーが先行していた時代でしたよね。トリニティはそれらの仕事に多く携わっていたので、比較的早くから経験を重ねることができたかなと思います。
有本:確かにそういう時代でしたね。あと世の中的にはデザインイベントが盛り上がっていた時期ですよね。国内だと東京デザイナーズウィーク(2015年に「東京デザインウィーク」に名称変更)とか。
深澤:そうでした!デザインを取り巻く環境が変わり始めた時期ですね。
深澤さんの印象に残るプロジェクトを挙げるとしたら?
深澤:2022年から継続している定例セッションが自分の中では大きいですね。週一で宮森さん、有本さんたちとお話ししながら、JKDさん(株式会社JVCケンウッド・デザイン)の社内の新しい状況をキャッチアップして、中期的な計画を一緒に考えていくような場になっています。
有本:これといった議題がないときもありますけどね(笑)
宮森:特定のテーマが設定されていない場合でも、定期的なミーティングを実施することで、自分たちが直面している課題を即時に共有できる点は非常に有益ですし、その情報に基づいて対応してもらえることも大きなメリットです。
深澤:そこから実際にいろんな新しいプロジェクトも生まれてきてますしね。
有本:22年以降のものは全部そうかもしれない。
深澤:若手と中堅メンバーが一緒になってビジョンをつくったり、経営デザインシート*を使って未来構想をしたり。あとは皆さんが社内でデザイン思考研修を実施していくためのサポートもトリニティでやらせてもらっています。こういうのはどもれ毎回の会話の中で自然に課題が見えてきて、だったらこんなふうに進めよう、みたいなかたちでしたね。
*「経営デザインシート」
企業が未来を構想し、自社の新たなビジネスを考えるための思考補助・支援ツールとして内閣府が作成。トリニティではこちらをカスタマイズしたオリジナルのワークシートをさまざまな戦略立案プロジェクトで採用している。
宮森:それと、この定例セッションのおかげで、いろんな業界のグローバルも含めたデザインビジネス全般の新しい動きをインストールしてもらっているのも大きいですね。
有本:そうですよね。今はデザイナーの仕事がとても広がってきていて、でもインハウスでいるとなかなか外のことに気づきにくいところもあるんですが、そんなときに深澤さんと話して、こんな視点もあるよ、と投げかけてもらえて助かっています。
宮森:当時は、狭義のデザインから広義のデザインへと転換する時期でもありました。トリニティさんの協力のおかげで、私たちも会社としてスピード感を持って動くことができました。2022年にJVCケンウッドの経営から「顧客起点のデザイン経営」の推進を発表し、そこから様々な取り組みが始まりました。最初に、社内の営業担当者会議の中で、私と深澤さんでプレゼンを行いましたよね。
深澤:やりましたねー!デザイン経営を推進していくにはデザイン思考のマインドセットも重要なので、実際に顧客とのフロントに立つ営業の人たちに、そのあたりのことを他社の実例も踏まえながら説明させてもらいました。あのときはJVCケンウッドの江口社長もオンラインで入られて、そういう重要な場で話をさせてもらう機会をいただきました。
宮森:あれがひとつの契機でしたね。全社的にデザイン思考を導入し、JVCケンウッドの統合報告書にも「顧客起点のデザイン経営」という文言を取り入れるようになりました。
先ごろJKDさんのウェブサイトが新しくなりました。トリニティはそれ以前のウェブリニューアルのときもお手伝いさせていただき、これが2度目。このときのお話を聞かせてください。
深澤:前回のリニューアルのときは、クリエイティブ面の調整に手間取って期間も延びてしまい、ご迷惑をかけてしまいました。今回はウェブデザインを担当してもらった制作会社ともチームとしてうまくまとまれたかなと思います。
有本:びっくりするくらいスムーズにいきましたよね。デザインの仕上がりもそうですが、このリニューアルで自分たちがどんなことを発信していくべきかというところから深澤さんに入ってもらったのが大きかったと思います。そもそもの目的やポイントを整理してもらって。
深澤:最初にJKDさんの社内メンバーとトリニティでワークショップを実施したんですよね。例えばリクルートのコンテンツについて、いまは外から社内の「人」が見えないとか、もっと自分たちから情報発信していきたいという若手メンバーの思いが見えてきて、それをトリニティでデザインの要件に落としていったんです。そういったプレワークをしっかりやらせてもらったおかげで、制作会社にもうまくバトンタッチできました。
宮森:そもそもの部分の整理という意味では、雑誌「JVCケンウッド・デザインがつなぐミライ」(「AXIS」2023年7月増刊号)の準備段階から深澤さんにも一緒に企画を考えてもらいました。前から自分たちの活動をもっと世の中に知ってほしいと思っていて、今回のデザイン経営の取り組みをきっかけに、実現できたと思います。
JVCケンウッド・デザイン
https://design.jvckenwood.com/
「JVCケンウッド・デザインがつなぐミライ」
https://design.jvckenwood.com/news/axis-2023/
これからのトリニティにどんなことを期待いただけるでしょうか。
宮森:JVCケンウッド・デザインは、JVCケンウッドの100%出資の独立したデザイン会社です。JVCケンウッド・グループのプロダクトやサービスだけでなく、BtoBのビジネスも多く手掛けており、外部のパートナーとの連携が欠かせず、広義のデザイン力でそれをつないでいくのが我々の役割であり、当社の強みを常に対外的に発信し続けることが重要となります。トリニティさんにはこれからも一緒に伴走していただきたいと思っています。
有本:一緒にビジョンをつくっていると、いろいろな構想が生まれてきますよね。その構想に対して何をしていくべきか、そこをわかってもらっているのが心強いし、提案もしていただけることを期待しています。
深澤:いろんなお仕事をやらせていただく中で、社内のいろんな立場や世代の人たちとも横断的に話す機会が増えてきます。それで段々と皆さんのカルチャーがわかってきたんですよね。未来のことを話しながら、皆さんが大事にしたいことがわかってくるし、そういうところから各プロジェクトをスタートできるのはとてもありがたいと思っています。ここまでやれる関係性のクライアントさんは多くないですし、自分としても本当にいい経験をさせてもらっています。
宮森:社内のデザイナーの意見を抽出してもらっているのは大きいですよね。自分たちが直接聞いても、やっぱり立場的なこともあってホンネは言いにくい。そこにトリニティさんのワンクッションがあるとみんなも話しやすいようです。そういう場をすでに何度か設けていますが、これからも年に1、2回は機会をつくりたいですね。
最後にトリニティにメッセージをいただければと思います。ここが足りない!などお叱りも歓迎です。
宮森:う〜ん、足りないところ…、トリニティの今後が気になるよね(笑)
深澤:そこですか(笑)
宮森:私たちも同じですが、世代交代って、かなり大きな課題ですね。パートナーシップを続けるには、やっぱりお互いが若手を育てて、カルチャーを継承していくのが大事だと思います。デザイン経営が今後さらに社会に広まって、言葉としては言われなくなった後も、デザイナーがやるべきことはもっと増えていきます。次の社会のためにデザインに何ができるか、企業のデザイン組織にどんな機能が必要になるか、次の世代にバトンをつないで、問い続けていかないといけない。特に、グローバルな視点でのデザイン戦略の策定や、異文化間でのデザインの調整が求められるようになります。また、AIの活用も重要で、デザインプロセスの効率的な運用や新しいアイデアの創出など、そこでもパートナーが必要だし、お互い先のことを一緒に考えて、語り合いながら進んでいきたいですよね。
深澤:ありがとうございます、大きな宿題をいただきました!
(取材・撮影日:2025/07/09 場所:株式会社JVCケンウッド・デザイン 所属・肩書は取材当時のものです。)
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