トリニティ株式会社

深センは節電とは無縁 ~電飾デコレーションマンション

公開:2011年12月7日 更新:2011年12月7日

シンセンのマンションは昼と夜の顔が全く違う。

 

昼間は普通の地味なマンションが、
夜になるとその輪郭部分が七色の電飾デコレーションで飾られ、
暗い夜空に浮かび上がる。

昼のマンション

夜のマンション

特徴的なのは、日本でもクリスマスの時期に見られるような、
個々の家のベランダを賑わすための電飾ではなく、
まるで商業施設か遊園地の観覧車のように、
そのマンションの大きさや高さを暗い夜空の中で際立たせるのが目的である事だ。

どうみてもマンションの住人ではなく、
ディベロッパー側が仕込んで管理をしているようだ。

弊社の中国人スタッフに聞くと、
新たなマンションがどんどん建設されている中で、
少しでも商品価値を上げるためのものらしい。

「自己顕示」を目的として、デザインに「存在感」が求められる中国。

なかでも「経済特区として最初に解放された都市」であり、
わずか30年で、人口3万人の漁村から1400万人の大都市として、
まだまだ急成長の最中にあるシンセン。

平均年齢が28才と若く「家を持ちたい年頃」の人々で溢れ、
上海や北京についで、不動産投資の対象としても
マンションが注目されている背景から、
格別に「商品としてのアピール」を行う傾向が強いと感じた。

街ゆくカップル達は「僕の家は、あの七色のイルミのマンションだよ」
なんて話しているのだろうか。

自分の所有するマンションに、どんな「イルミネーション」がついているかで、
「選ばれる男」の条件が決まるのかも知れない。

節電、節電の日本に慣れていた私には、夜のシンセンは眩しかった。

文責

山口崇
トリニティ株式会社 取締役 / デザインプロデューサー
Adaptive Insight Academy デザイン思考 講師

グラフィックデザインを学んだ後、
メーカーのデザイナー、ブランドコンサルティング会社の戦略プランナーを経て、
現在はトリニティ株式会社にてデザインコンサルティング、デザイン&イノベーション
ワークショップの企画・実施・ファシリテーションを行う。
アダプティブインサイトアカデミーデザイン思考講師も兼任。