トリニティ株式会社

インドネシアの「マサコ」

公開:2012年1月27日 更新:2012年1月27日

インドネシアのスーパーマーケットやコンビニのいたる所で
「マサコ」という名称の商品が目に付く。

「マサコ」という名の調味料

実はこれ、日本の「味の素」。

 

インドネシア語で「調理する」という意味の「MASAK(マサック)」
とかけて、日本の女性の名前を連想させる名称にあえて変更して
ローカライゼーションを行っている。

 

インドネシアのスーパーやモールを歩いていると、そこかしこに
日本を連想させる商品名や、日本語を使った表記が目に付く。

 

新興国の中でも、ことインドネシア市場においては、
「日本イメージを活用する事」は、ひとつの成功テクニックとなっている。

 

インドネシアは親日家が多い国として有名だ。

 

インドネシア人の提携先スタッフに聞くと、親日の歴史は大東亜戦争時代に遡り、
オランダ軍によって350年続いた圧政が、日本軍の侵略によって終了した事が
その発端にあるとの事。

 

またインドネシアには東ジャワ地域に古くから伝わる『ジョヨボヨ王の予言』
というものがあり、そこには以下のような一説がある。

 

「我らが王国は、白い人びとに支配される。
彼らは離れたところから攻撃する魔法の杖を持っている。
この白い人の支配は長く続くが、空から黄色い人びとがやってきて
白い人を駆逐する。この黄色い人びとも我らが王国を支配するが、
それはトウモロコシの寿命と同じくらいの期間だ。」

 

この「黄色い人びと」が、軍用機からパラシュートで上陸する当時の
「日本兵」の姿と重なった事が、日本の良いイメージを作り上げた
大きな一因であると思われる。

 

最近では外資ブランドまで日本語を活用したネーミングをつけて
ビジネス展開をしている状況も見受けられる。
(正直、なんと書いてあるのか分からないものも見かけるが。。。)

何とか読める日本語ネーム例

海外で商品展開を行う際、どのようにローカライゼーションを行うかが
昨今大きなビジネステーマとなっているが、ことインドネシアに関しては
『ジョヨボヨ王の予言』というストーリーに裏打ちされた、強力な
日本ブランドで牽引する、という視点の商品企画が重要なのかもしれない。

 

因みに、「マサコ」の展開版である、照り焼きソースの「サオリ」も人気上昇中。

スーパー棚のベストポジションを占有する「サオリ」

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文責

山口崇
トリニティ株式会社 取締役 / デザインプロデューサー
Adaptive Insight Academy デザイン思考 講師

グラフィックデザインを学んだ後、
メーカーのデザイナー、ブランドコンサルティング会社の戦略プランナーを経て、
現在はトリニティ株式会社にてデザインコンサルティング、デザイン&イノベーション
ワークショップの企画・実施・ファシリテーションを行う。
アダプティブインサイトアカデミーデザイン思考講師も兼任。