トリニティ株式会社

CEATECに垣間見る、IoT社会の足音

公開:2016年10月25日 更新:2016年10月25日

先日、幕張メッセで開催された、CEATECに足を運んだ。今回は、自分が見た範囲での私見を述べたいと思う。

忙しい業務の合間を縫って会場入りしたトリニティメンバーは、メンバーごとに散らばって会場を責めることに。
私が担当としたのは、特別展示のエリアだ。

ここは比較的小規模の、ベンチャーマインド溢れる新興企業が中心にエリアであったので、他のブースに比べると随分異質かもしれない。

Hackという文字や、Hackathonと書かれたTシャツを着たスタッフの人たちの姿が目立つ。Hack-a-thonとはご存じの方も多いと思うが、Hack+Marathonの造語。制限時間内にお題に応じたアイデア出しと、それを実現するプログラムの作成を競い合う競技のことだ。
普段、アイデアソン・ハッカソンのプロジェクトに業務で関わることが多いので、あらためてその関心の高さを実感する一コマだった。

ブースの入り口近くに用意された商談ブースでは、用意されたテーブルが全て塞がる盛況ぶり。

このブースの中では少し異質だが、TESLAモーターのブースでは、MODEL S、そしてクロスオーバータイプのMODEL Xの実車が展示。多くの人でにぎわっていた。

続いてPrefered Networksへ。
ここは人工知能の会社だ。深層学習を取り入れた、物流システム用のロボットと、ドローンのデモ。

大手企業としては、SECOMのブースが印象的だった。
CEATECとSECOMとは、異質な組み合わせのようにも感じたが、ブースを覗いて納得。ホームセキュリティーを行うにあたり、日本最大級のデータセンターを所有しているということ。まさにIoTの先進を行く企業であったのだ!さらには、ホームセキュリティー専用のドローンの紹介もあり。
言われてみればその通りなのだが、すでに私たちの想像以上に、IoTは広まっている。

また、「豆蔵」ブースでは、家中にセンサーを取り入れて居住者の状況を把握できる、高齢者のための「介護見守りシステム」をデモ。
この分野では、センサリングの技術が大きく花開くことになるだろう。

他にも思わぬ会社のブースが。
JTBブースには、「narikirispot」と題した大型の液晶モニターが。
試しに近づいてみると、自分の顔が歌舞伎顔になったりする。

リアルタイムで自分の顔を変身させてくれるアプリは最近よく見かけるが、それの大型版という感じ。これは、全国の観光地に置くことを想定しているそうだ。その目的は、デジタル版、よく観光地にある記念写真用の、顔の部分がくりぬいてあって顔を出して撮影する、まさにあれだ。

観光地を訪れた際、設置されたこの「narikirispot」の前に立つと、その土地にゆかりのあるキャラクターに返信したうえで、この機械のみで記念撮影ができる。撮影したデータは自分のスマートフォンに転送できる。
あの滑稽な「顔出し」記念写真が近い将来なくなってしまうとすれば一抹の寂しさがよぎらなくもないが、こんな些細な場面にも確実にテクノロジーの進化は現れてくる。

しかも、それだけではない。このnarikirispotの真の狙いは、記念撮影を求めて機械の前を通る人たちの性、年代をはじめとする属性情報を収集でき、分析できるところにあった。な、なるほど。実はサービス提供側にビッグデータを入手できるうま味があったとは。
技術的な面白さだけでなく、仕組みとしてよく考えられていると感心した展示だった。

今回、エリア内をあちこち歩いたが、目にする言葉はひたすらに、IoT、AI、ドローンの3つに集約されたかと思う。
今回のCEATECのような展示の場では、ともすればその回ならではの流行のようなものがあり、全体にその流れに乗ることになる場合が多いだろう。今回で言えば上記に挙げたような言葉がまさにそれなのだろうが、しかし、各所を回って感じるのは、AIもIoTもドローンも、そこに私たちが知っている以上の革新性がまだまだ秘められているということだ。

本当にごく近い将来、空を無数のドローンが飛び交い、人間を含む万物がインターネットに接続し、AIが人をも凌駕する。そんな、サイバーパンクの物語のような世界が、空想でなく実現する予感をはっきりと見るものに与えた、個人的にはそんなCEATECでした。

 

(トリニティ岡村)