会社を超えた
若手デザイナーの対話が
デザイン組織の変化を先導する。
ートピックス2025課外活動(2つの座談会)レポートー
公開:2025年10月30日 更新:2025年10月30日
デザイン組織が、もっと企業や社会の成長に貢献していくために、必要な視点・行動を他社との切磋琢磨で掴み取り、自らの強さに取り込んでいく―――。デザイナーそしてデザイン組織が業種・業界を超え、共通の課題に向きあい、成長へとつないでいく異業種交流勉強会「トピックス」。日本のインハウスデザイン組織全体の視座を高めることを目的に2008年にスタートした本活動も今年で18年目。毎年12〜15社の企業が参加する貴重な機会となっています。
約半年間の活動期間を通してさまざまな活動を行っているトピックスですが、今回は「若手デザイナー座談会」と「新任リーダー座談会」をご紹介します。
若手デザイナー、新任リーダーから、
社内に変革を波及させていく。
デザインに対する企業や社会からの期待感が高まるなかで、各社のデザイン組織は新しいあり方を常に模索しています。変革のためには組織として上からのマネジメント力も必要ですが、同時に若手ならではのパワーを活かし、組織にボトムアップな波及効果を生み出すことも重要でなのではないでしょうか。
若手デザイナーには若手ならではの悩みや課題もあります。組織のなかでどのようにキャリアを築いていったらいいのか、もっとデザイナーとして企業の活動に関わっていくにはどうしたらいいのか。しかし、自社しか知らない若手にとっては、客観的に考える“比較対象”がないというのも事実です。自分たちの企業とは組織形態も業界も違う、“自社以外のデザイン組織”で活躍する同年代と交流することで、自分自身はもちろん自社の(これまで見えていなかった)課題を客観的に捉え直す機会となっています。
トピックスの座談会企画は、そんな若手ならではの悩みや課題を社外の仲間に“ぶつけてみる”ことで、社内だけでは得られない“なにか”を感じ取り、自分の仕事、自分の組織に持ち帰ってほしいいう思いから始まった企画です。
デザイナーとしての自分とリーダーとしての自分を
どう両立していくか
まず、9月19日(金)に行われたのが「新任リーダー」座談会です。デザイン組織内のリーダーとしての役割を担うようになって2〜3年目までの方、9名が集いました。
「デザイナーとしての自分と、リーダーとしての自分〜会社の意思とチームのモチベーションをどうつないでいくか〜」がテーマ。実は、「新任リーダー」に焦点を絞った座談会の開催はトピックス初の試みでした。参加したメンバーからも、デザイナー同士の交流会、意見交換会という機会はこれまでにもあったものの、「デザイナーかつリーダー」としての視点で話しあう場は、初めてという声が聞かれました。
同じ「デザイン」に関わる部門といっても、一連のものづくりプロセスへの関わり方も、組織のあり方についても多種多様。それでも、「(リーダーとしての業務が多忙ななかで)自分のデザイン時間をどう確保しているか?」「AI時代になっていくなかで、人材教育をどう考えていくべきか?」など、リーダー視点、組織視点でみたときの共通の課題や悩みが、共有され、自社の事例や経験などを交えながら、未来視点での議論が行われました。
デザインの価値を社内に伝えるための、
若手ならではの試行錯誤
続く9月26日(金)に行われたのが、「若手デザイナー」座談会です。TOPICS2025参加企業から10名の若手デザイナーが集まったこの日のテーマは『デザイナーのシゴトって、いったいどこまでですか?』。
SNS、AI、リモートワークをはじめとした新たな働き方が当たり前の時代にキャリアをスタートさせた若手デザイナーは、何を思い、どんなことを課題に感じているのか。業種・業界が異なる同年代のデザイナー仲間に「聞いてみたい質問」を自ら出しあい、それらについて議論しあうという時間を繰り広げました。
選ばれた「質問」は、2つ。まずは「デザイナー以外の人に、デザイン提案する時のコツはある?」というもの。自分が考えたデザインを形にし、世に出していくためには、その過程でたくさんの人たちの理解と共感を得ていく必要がある。その時、一生懸命説明しても、伝わらない、動いてくれないという悩みは、会社や業界の違いを超えて共感されていました。また、「AI×デザインのこと、“正直”どう思っている?」といった旬なテーマについても「普段会社でも話したことのないようなテーマについて、改めて向きあうことができ、自分の会社でも取り入れてみようと思った」といった感想も聞こえてきました。
理想論ではなく、具体的な“やってみよう”へ
若手だからこその大胆さと行動力が、デザイン組織を変えていく
会社や業界が異なるからこそ、フラットに話しあえる、素直に話題にできる、そんな心地よい空気感は、限られたメンバーでじっくりと語りあえる“座談会”だからこそ。いずれの会も、「デザインを伝える時、もっと相手の想いを汲み取った“翻訳”をしてみよう」「いいデザインを社会に送り出すために、社内のバリアにもあきらめずに別の視点でとりくんでみたい」など、自分なりの言葉とともに、自分たちが率先して組織変化を起こすための確かな自信を持ち帰ってくれました。
さて、TOPICS 2025としての活動もいよいよ終盤です。次回レポートでは、「インナーコミュニケーション(デザイン組織の価値発信)」をテーマに活動してきた本年度の活動の総括として、各社の発表が行われた第5回の様子をレポートします!
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