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2024年ミラノデザインウィーク/ミラノサローネ現地取材から見えてきた、デザイントレンドの現在地

公開:2024年04月25日 更新:2024年04月25日

毎年4月にイタリアのミラノでは世界最大規模のデザインの祭典「ミラノデザインウィーク」が開催されます。「ミラノデザインウィーク」とは、ロー・フィエラミラノ会場で開催される世界最大規模の家具見本市である「ミラノサローネ国際家具見本市」と「フォーリサローネ」と呼ばれるミラノ市内で開催される各種企業やデザイナーによる出展やイベントをあわせた総称となっています。

2024年 ミラノデザインウィーク/ミラノサローネの概況

今年の出展数は約1,950以上(600 名のSaloneSatellite デザイナーを含む)、出展企業のうちなんと約33%は国外メーカーの出展となっている様子。また、2024年度は、キッチンデザインの見本市「エウロクチーナ」(奇数年はエウロルーチェ/照明の見本市)も開催、来場者数に関しては、昨年比17.1%増で36万人を超えていました。

さて、家具見本市のフィエラ会場では、例年と変わらず、イタリアの大手家具メーカーである、カルテル、ミノッティ、モルテーニなどが最新作を中心に商品を展示しています。また、日本の家具メーカーである、マルニ木工やカリモク家具、リッツウェルなどもフィエラ会場に出展しています。

ミノッティ

モルテーニ

ミラノ市内のフォーリサローネでは、今年もグーグルやレクサスなどが出展、また、加熱式たばこブランドのglo™も、ブランディング・マーケティングの場にふさわしい、趣向を凝らした展示を行っていました。日本メーカーでは、分析計測機器などを手掛けている島津製作所もミラノデザインウィークに参加。デザインスタジオのwe+とのコラボレーションにより『WONDER POWDER(ワンダーパウダー)』をテーマに、さまざまな素材を粉末にしてその可能性を模索する、素晴らしい展示を行っていました。ちなみに、デザインスタジオのwe+は、イタリアのキッチンメーカー・Elicaとのコラボレーションによるインスタレーションで、ミラノ市内で発表されたエキシビジョンの中から最も優れたプロジェクトに与えられる「フォーリオサローネ アワード 2024」BEST16 / メディアパートナー特別賞を受賞しました。

glo™

島津製作所とWe⁺による『WONDER POWDER(ワンダーパウダー)』

注目の出展

家具メーカーとしては、B&Bイタリアとカッシーナの展示が、共にイタリアンヘリテージを感じさせる内容として秀逸でした。とはいえ、そのアプロ―チは両ブランドで異なり、B&Bイタリアは90年代の洗練されたイタリアンモダンなスタイルを、カッシーナは80年代のポストモダニズムを感じさせる、色鮮やかで華やかなスタイルをフィーチャー。どことなく歴史を感じさせる佇まいに、穏やかな色使い、あるいは自然の要素を加味することで、現代的なスタイルに進化させたデザインは、この2つのブランド以外でも多く見られるデザイン手法となっていました。

グーグルは、『Making Sense of Color』というテーマの元、五感で感じるイマーシブな色体験という興味深い展示を行っていました。先程の島津製作所の展示もそうですが、家具メーカーではない企業の出展では、先進的、実験的なものも多く、こういった展示を多数見ることが出来るのも、フォーリサローネの楽しみでもあります。

B&Bイタリア

カッシーナ

Google『Marking Sense of Color』

ヘリテージ、あるいは人間に向き合っていくデザイン。

ここ数年、特にCovid-19以降のミラノデザインウィーク/ミラノサローネでは、デジタルテクノロジーに着目したプロダクトやインスタレーション、演出が非常に多く目につきましたが、2024年は少し落ち着いてきたようです。もちろん素材やプリントといった、CMF(カラー/マテリアル/フィニッシュ)デザインにおいては、デジタルテクノロジーを活用したモノが数多く展示されていましたし、その傾向はこれからも変わらないでしょう。

一方、リモートワークが当たり前になり、デジタルで過ごす時間が飛躍的に増えていく中、本当にそのまま突き進んでいいのか、という疑問がふつふつと表面化してきたのが、2024年の特徴なのかもしれません。イタリアの家具メーカーを中心に、穏やかさや安らぎを意識しつつ、ヘリテージを感じさせる地に足のついたモノづくり/プロダクトが数多く展示されていたのは、そういった時代の変化、価値観を反映した結果なのではないでしょうか。

Milano salone Trend Report

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