トリニティ株式会社

【海外調査ノウハウ】海外市場を攻略する為の新興国デザインリサーチのポイント -インド編-

公開:2019年3月26日 更新:2019年3月26日

トリニティ リサーチャーの織田です。

 

クライアント様の海外進出をサポートする為、
インドをはじめとした新興国のデザインリサーチに飛び回る日々を過ごしています。

 

昨年の11月にもインドのデリーに飛び、
耐久消費財のデザインに関するCLT調査(会場調査)を行ってきました。

ビジネス環境が未発達な新興国で現地リサーチを行う難しさ
– 調査会場が無くなった?

今回、事前に調査会場を押さえた上で渡航を計画していましたが、
出発直前になって会場のオーナーシップが変わり、
調査会場が使えなくなってしまう、という事態が発生しました。


幸いすぐに同程度のスペックを持つファシリティーを確保することができたので大事には至りませんでしたが、
新興国のリサーチでは日本と同じ意識・やり方では上手く行かないケースがあることを痛感させられることとなりました。

写真:食品とDVDと家電製品が混在するキラナの店内

変化が激しい新興国をウォッチし続ける必要性
– スーパーが見当たらない?

インドの流通チャネルでは「キラナ」と呼ばれる個人商店が強く、
トラディショナル・トレードがとても力を持っており、
スーパーのような大型のチェーン店を見掛けることが実は少ないです。

 

非常にローカルでトラディショナルな雰囲気を醸すキラナの店内ですが、
テクノロジーはこうした伝統的な市場にも確実に浸透をしており、
「Paytm」に代表される電子決済サービスの導入がキラナでも進みつつあります。

 

こうした伝統と先端が混在している様はまさに新興国の現状であり、
継続的にウォッチを続けていかないと、
その変化スピードの早さに取り残されることにも繋がりかねません。

□新興国デザインリサーチを成功に導くために外せない3つのポイント

こうした日本とはまるで環境の違う新興国において、
リサーチプロジェクトを進めて有効な知見を得る為の3つのポイント解説をさせていただきます。

1. パートナーシップをフル活用する


今回の調査会場の変更の様に、新興国の調査では想定外のことが起こり得ます。

 

こうした事態にフレキシブルに対応する為には、
経験豊富な現地パートナーのキーマン、できれば複数のキーマンと、
常日頃から信頼できるパートナーシップを構築しておくことが重要です。

2. 異なる強みを持つリサーチを組み合わせて相乗効果を生む


定量調査と定性調査とでは、得られる情報の質が異なります。

 

特に習慣や文化的背景が異なる海外調査においては、
量的なエビデンスと質的な理解を組み合わせて得ることにより、
我々日本人ではなかなか分からない嗜好の背景までを読み取ることが重要です。

 

カラー嗜好の例となりますが、
インドでは深みのあるレッドであるマルーンカラーが好まれます。
現地の有識者に話を聞いた所、インドには “インド的な色“ “非インド的な色“ が存在し、
マルーンカラーはインドの伝統色で、“とてもインド的な色である“ からこそ好まれることが分かりました。
量的なエビデンスと合わせて、こうした文化や価値の文脈を語れる有識者を活用することは、
情報収集においてとても有効な一手となります。

3. 異文化の嗜好を読み解く為の比較軸を持つ

得た結果に対しては、比較軸を意識した視点で読み解いていくことが重要です。

 

・日本と比べた時のインドの特徴って?
・欧州や他のアジアの国と比べるとどう違うの?
・これから市場を牽引する若者の嗜好と上世代の嗜好はどこが違うの?

 

様々な国でのプロジェクト経験が生きてくる部分でもありますが、
比較を通すことでよりクリアにその国を理解することが可能になります。

 

今回、新興国調査を実施する上でのポイントをご紹介させていただきましたが、
皆様が今後、海外で調査を企画される際に、
参考にしていただければ幸いです。

トリニティの新興国デザインリサーチ

デザインリサーチという概念がまだ無かった2000年代後半から、
新興国で生活者の嗜好やインサイトを掴むための数々のリサーチを実施。
2010年には、インド・デリーに「トリニティ・ストラテジー・インディア」を設立、
2015年にはタイ・バンコクに「トリニティ(株)・タイ リエゾンオフィス」を開設。
新興国での基盤を更に強化しています。

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