本年度トリニティでは、富山県公募案件で採択され、富山県総合デザインセンターにおいて「デザインビジネススクール」を展開しています。
同センターは立ち上げ当初より「デザイン」を活用して、地域産業の活性化にいち早く取り組み様々な具体的な成果を創出し、地域や他の自治体からも高い評価を受けています。
※富山県総合デザインセンター https://toyamadesign.jp/
いよいよ市況の変革の時。これを受けて同センターでも、デザインを視覚的、造形的、感性の表現によるモノ・コトの価値向上だけでなく、デザインを「人間活動をより良いものにするために、あるべき問いを立て、それを超えていくための全体設計とそのアクションである」という広義のデザインの解釈のもと、デザインの力を地域の企業に活用してもらいたいと考えています。「とやまデザインビジネススクール」はその鍵を握るプログラムです。
ここでは、経営にデザインの視点やアプローチをどう取り込むか、価値観も変わり今後の市況、ひいては未来が予測できない社会の中で、どのように自社が生き残れるか~を考え、その手立てとなる思考やメソッドを学べます。
企業の未来を創る!内閣府から発表された「経営デザインシート」って何?
本プログラムの第3回目は、未来を構想し自社の新たなビジネスを考えるための「経営デザインシート」のワークショップが行われました。
これは、内閣府の知財内閣府の知的財産戦略事務局が作成し、現在国内の企業に広く啓蒙しているもので、その目的は環境変化を見据え、自社や事業の「これまで」の理解に基づき「これから」を構想すること。そのための思考補助ツールです。
環境変化に耐え抜き、持続的に成長をするために、自社や事業の
1.存在意義を意識した上で、
2.「これまで」つまり現在の自社の事業を把握し
3.長期的な視点で「これから」の未来のありたい姿を構想する。
4.それに向けて今から何をすべきか戦略を策定する。
~ことができるワークシートです。
首相官邸ホームページ >知的財産戦略本部 > 経営をデザインする
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/index.html
今回は20名の地元企業の経営者、開発責任者、若手人材が参加して、経営デザインシートを使った自社の未来構想ワークを実践。
経営デザインシートの簡易版。
今回はこれを基にカスタマイズしたトリニティ・オリジナルシートを活用。
経営デザインシートで一番大切なのは「未来を構想する」こと
経営デザインシートは、従来のように「これまでの自社の強み」から将来のアイディアを出してはいけません。
なぜなら、With/afterコロナだけでなく、世界や国内の市場や生活者の価値観も大きく変化している今、現在の自社の強みが将来にわたり強みとして活用できるか否かわからないからです。加えて現在の自社がもっているものだけで将来のビジネスが成立する可能性すら低いといえます。
大切なのは、まず自分たちはどう在りたいのか、社会にどんな価値を提供していくのか、それをすることで自分は幸せを感じるのか~これをとことん自問自答することです。
その上で新規事業モデルや製品・サービスを考えます。
その際にハードルになるのは、未来がどうなるかの情報、リソースが人によってまちまちであること。往々にしてビジネスマンは、自社事業や製品の知見や世界動向には詳しい一方で、他の領域の情報や、何より世代や国を超えた生活者の価値観や消費スタイルについては(未来という前に)現在の事実についても情報を持たない方が大半です。
未来を構想するには、既存の自分がわかっている情報だけではなく、ある程度の幅広い情報リテラシーも必要です。
そこでトリニティでは、2000年より作成している、未来予測のデータベースを
このワークショップで公開して、未来を想定するときの刺激(?)、つまり補完情報として活用しました。
この未来予測の資料は、クロスオーバートレンドと称し、プロダクト&建築&ファッションをクロス・横断させて、未来の価値観とそこから生まれる製品やサービスを定点観測的に調査分析したグローバルな未来予測レポートです。
これによって、参加者は限られた時間で、高いパフォーマンスを出すことが出来ました。
とやま「デザインビジネススクール」のプログラム
このプログラムは、前5回。1&2回目に、行政と民間の有識者が登壇し、3回目の今回が企業の未来を構想する「経営デザインシート」のワークショップ。後半の4&5回には、いまやビジネスマンやデザイナーの思考の基礎のひとつである「デザイン思考」を学び、これを使って参加者全員で、新規事業&商品サービスアイディアを創出していきます。
デザイン経営を考える手立て「経営デザインシート」
ご存知のとおり「デザイン経営」は、イノベーションやブランド構築をはじめとする企業の価値向上を「デザイン」を活用して実現していく経営手法です。
ここで意味する「デザイン」は、企業が大切にする価値と意志を表現する活動であり、同時に顧客や生活者の潜在的なニーズやインサイトを元に事業化を構想する活動までを指しています。
デザイン経営を考える時、経営デザインシートはそれを戦略化する時の有効なツールとなります。経営環境が著しく変化している今、一企業の競争戦略にとどまらず、社会や環境とどうかかわっていくか、モノやサービスがあふれる市場で「ひと」を幸せにすることは何か、自分達は未来に向けてどんな価値を創り上げたいか、を考えるこのツールは、経営やマネジメント領域には、欠かかせません。
そしてこれに取り組む時、未来を構想する力、生活者の心や感情の中に共感するというデザインの力がとても需要なファクターであることは、言うまでもないでしょう。
トリニティでは1997年の創業から、広義のデザインの視点で活動を続けてきました。
もちろん当時「デザイン経営」や「広義のデザイン」という言葉はありませんでしたが、「デザインには、生活者と企業経営をつなぐ力がある!」と信じて、生活者×経営×デザインの三位一体のトリニティという社名でこれまでやってきました。
「デザイン経営」の意義がますます高まる今、私たちが良いと感じられる未来を創るため、
これからもデザインの力を皆さんに伝えていきたいと思っています。
文責
湯浅保有美
トリニティ株式会社 CEO 代表取締役社長
エイチタス株式会社 取締役 / デザインプロデューサー
ソーシャルケア デザイン
– ソーシャルプロデューサー
– グラフィックファシリテーター
– LEGO® SERIOUS PLAY® メソッドと教材活用トレーニング修了認定ファシリテータ
RobiZy 正会員(特定非営利活動法人ロボットビジネス支援機構)
一般社団法人日本知財学会 正会員
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