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多様性とエネルギーに満ちた国“インド“を訪れて

公開:2019年12月12日 更新:2019年12月12日

9月初旬1週間のインド市場調査のプロジェクトで、ニューデリーを訪れた。
そこは“いわゆるステレオタイプのインド”とは、次元の違う空気の国であった。

宗教こそヒンドゥ教徒が約80%を占めるものの、数多くの神様が存在し、
それが人の生きる拠りどころとなっている。
話す言語も公用語はヒンドゥ語とはいえ、インド全体を見ると22の指定言語を持つ。
各地で全く違う言語といっても過言ではないほど違う言語が使われていると言う。
日本の方言とは、比べ物にならない差のようだ。
北と南では、食べるものも、生活習慣も異なる。
本当に多様性の国であり、一言で“インド”を言い表すことは、全くできない国なのである。
このように多様性が一国に混在しながら、インドがインドたる所以は、
一人一人が常に一人称で、自分視点で存在しているからであると思う。
この国の人たちは、まず自分であり、後にも先にも人の事など気にしているそぶりも見せない。

デリーは、慢性的にひどい渋滞で、通勤ラッシュ時は、
いつもの2倍以上の時間がかかったりするほど、毎日が渋滞である。
3〜4車線でも、平気で4〜6車線で走り、他のクルマ、バイク、歩行者お構いなしに車線を変え、
左右に曲がりながら、ぶつかる事無く、皆で阿吽の呼吸で歩調を合わせ進むのである。
こんな状況でも、ほとんど事故が起こらず、皆が進んでいくのは、本当に凄い。
うしろからクラクションを鳴らしまくり、自分の存在を誇示しながらも、
前にいるクルマは、そんなクラクションなど全く気にしない。
皆が前しか見ておらず(実際サイドミラーやバックミラーで後ろを確認することは、極端に少ない)、
後ろの事は気にすることなく、前方のモノにぶつからず進むことに専念している。
皆が歩調を合わせながら、前の人にさえぶつからなければ、事故は起きないというのが、基本的な考え方である。

今回はオールドデリーにも行く事ができた。
ここはまた他の場所とは一線を画する、すごい場所であった。
ここに訪れてから、ニューデリー市街に戻ると、
なんと近代的な街なのかと思えてしまうほど、混沌とした空気が流れている場所であった。
しかし、そのオールドデリーでも、インド人のとてつもなくエネルギッシュなパワーを感じた。
絶対日本人では生き延びれないような空気、環境、生活の営みの中で、
人も犬も牛も何もかもが、生き延びようと1歩ずつ歩みを進めている。
激しい主張はないが、生き延びようという意思をとても感じた。
身なりはボロボロでも、生気を失っている人はおらず、背筋を伸ばして颯爽と歩いているのである。
けれども、そんな生命力溢れる、エネルギッシュな国でありながら、国民は運命を信じ、
明日死んでも、それが運命ならしょうがないという考え方なのだそうだ。実に面白い国だと思う。
そこにインド人のメンタリティの強さがあるのだろう。

多様性とエネルギーに満ちた国“インド”であるが、国民もここ数年の急激な進歩、
グローバル化を感じながら、躍進している。
そして日本の高度成長期に似ている部分と、さらに貧富の差が街の至る所で見られる状況が、
この国のエネルギッシュな様相を加速させている気がする。

ZARAやH&M,GAPなどのグローバルSPAが、若く成功している人々の間で着られ、
洒落たレストランで、カップルがお酒や食事を楽しんでいる。
そんな彼らも時にはインドの伝統衣装のサリーを身に纏い、オシャレを楽しんだりと、
グローバルな嗜好と自分たちルーツを愛する気持ちを、どちらも忘れず持ち続けている。
外国かぶれではなく、自分たちのアイデンティティは強く持ちながら、
そこに外国からの洗練されたエッセンスを取り入れるといった感じなのである。

今回、急激に成長するインドの真の姿に触れ、多様性の中で強く突き進む、この国のポテンシャルを強く感じた。
今後もインド市場に注目しつつ、刻々の変化をお伝えしたいと思う。

(文責&写真:兵頭)

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