トリニティ株式会社

オランダ×日本 最新デザインプロジェクト現地レポート ~from Tomoko Magpie Design Management ( Amsterdam )~

公開:2016年9月16日 更新:2016年9月16日

当ブログをご覧のみなさま、お元気でお過ごしでしょうか。

このたび、弊社トリニティにまたひとつ、素敵なパートナーシップが生まれました。
日本からオランダ・アムステルダムに渡り、現地にて幅広くデザイン活動を展開されている、喜夛倫子さま率いるTomoko Magpie Design Managementをご紹介します。

Tomoko Magpie Design Management
http://www.t-magpie.com/

ここに弊社とのパートナーシップ締結を記念して、代表の喜夛さまより、現地オランダの最新デザイン情報についてご寄稿頂きましたので、ご案内致します。
アムステルダムにお住まいだからこそ見ること(知ること)のできる、私たちにとってはとても新鮮なレポートを、是非ともお楽しみください。

ご挨拶

この度、ビジネスパートナーとして業務提携させていただくことになりましたTomoko Magpie Design Managementよりご挨拶申し上げます。
利便性の良いアムステルダムを拠点に、アジア、日本、ヨーロッパの企業を対象として、モノ作りに関わる全てのプロセスにおいて必要な改良点や新たな試みをご提案し、デザインマネジメントを行っております。日本製品をヨーロッパ市場へ、または日本の技術や製品をヨーロッパの市場にトランスレートするプロジェクト等を、デザインとビジネスの側面からサポートいたします。

さて、本日はオランダと日本間のデザイン関連のプロジェクトとオランダの消費者についてレポートさせていただきたいと思います。

オランダと日本を繋ぐプロジェクトのご紹介
オランダと日本の国交150年、九州の平戸からはじまった日蘭通商は400年という節目を2008年に迎え、更に日本とオランダ間のプロジェクトが活性化しています。
今年2016年に大きな動きのあったプロジェクトの一部をご紹介させていただきます。

 

Arita House Amsterdam

◎ ARITA 2016/

有田焼創業400年事業として、日本からは柳原照弘氏オランダからはStefan Scholten 氏と Carole Baijings氏、の3名がクリエイティブ・ディレクターとしてプロジェクトを務める佐賀県とオランダのコラボレーションプロジェクトです。
現在、アムステルダムにArita House Amsterdamが設けられ、ARITA2016に8カ国から参加された16組のデザイナーの方々の作品とそのデザインプロセスが展示されています。また、有田焼の製造工程のshort filmが流され、職人ひとりひとりの技術の高さと仕事ぶりを見る事ができます。
また、作品はアムステルダムのRijksmuseumで”Arita Porcelain Today”として10月上旬まで展示されています。

受け継がれた職人の技があってこそ実現した、各デザイナーにより新しい有田焼が誕生しており、世界での有田焼のブランドイメージを一新するプロジェクトとなっています。

Sweets Hirado-東西百菓之図・お菓子の島 平戸

◎East to West Sweets Encyclopaedia (Sweets Hirado)

クリエイティブ・ディレクターを大地千尋氏が務め、オランダ人デザイナーデュオINA-MATTと、Rooosmarijn Pallandt氏の2組が参加する、オランダ商館発祥の地、長崎県平戸市のプロジェクトです。
茶道の鎮信流の家元でもあった平戸藩藩主の命により製作された、異文化を取り入れた新しいお茶菓子の図鑑。この”東西百菓之図”とオランダのデザイナーの感性を掛け合わせ、現代の新しいお茶菓子と器へとトランスレートするプロジェクトが今年スタートし、その正式発表が2018年2月に控えています。
プロジェクトのプレビューとして、この秋2016年10月に、平戸のオランダ商館と東京のオランダ大使館でお茶会が催され、2017年にはヨーロッパでのプレビューが予定されています。

オランダ人によりもたらされた異文化を、日本人が200年前に吸収し生みだした新しいお茶菓子は、”東西百菓之図”を通じて現代のオランダの感性とどのように反応し、新たな進化を遂げるのでしょうか。

◎MONO JAPAN

2016年2月には、日本の文化をオランダと繋ぐJapan Culture Exchangeの中條永味子氏とLloyd Hotel & Cultural Embassy主催のもと、展示会MONO JAPANが初めて催されました。日本の手仕事や文化を背景にした道具や衣類、日用品などを、ただ展示するのではなく、workshopを通じて文化や製品についての理解を深めながら、実際の市場へと繋いでいく試みがなされました。
来年2017年の2月の開催が決定しており、流行や美術品としてもてはやされる”日本”の製品ではなく、その国の暮らしに根付く日本のモノや道具を使ってもらう事に重きを置く企業やクリエーターの展示の場として注目が集まっています。

以上のプロジェクトは、Dutch Culture、オランダ大使館、オランダ総領事館により立ち上げられた”Holland X Kyushu/ Japan”の文化協力プロジェクトであり、オランダがいかに日本に友好的であり、日本が他国に比べても優遇されているかを物語っています。

SWEET HIRADO (旧:East to West Sweets Encyclopaededia東西百菓之図):
http://sweethirado.com/

オランダにおける消費者について

九州ほどの大きさの国土に約1700万人が暮らすオランダでは、小さな国の為、ビジネスだけでなく日常生活ベースでも他国と関わり深く、日帰りで近隣諸国へ頻繁に行き来しています。義務教育で少なくとも2カ国以上の外国語(EU圏内)の履修が必須となっており、ほとんどの人が英語を話せる国としても知られています。このため、小さい国にも関わらず、オランダの一般消費者が自身で得ることのできる情報量は多いと考えられます。

歴史的に清貧をモットーとし、王室の方々でも日常的に自転車に乗り移動するオランダでは、消費者が自分で製品を判断し、納得のいったものを生活に取り入れて長く使っている光景を目にします。また、地に足の着いた生活を送るというライフスタイルに起因しているのか、流行を追うのではなく、自身の体験を軸として、その製品やシステムが自分に合っているか判断する傾向が見受けられます。

オランダ人ならでは論理的かつ率直な意見は、時に辛辣だとも言われますが、市場調査においては、的確なフィードバックを拾いやすい環境であると言えます。

最後までお読みいただきありがとうございました。
Tomoko Magpie Design Management / 代表:喜夛倫子