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デザインの視点
海外・新興国
2013年10月4日

ホーチミンの壁

ベトナムのホーチミン市は、数日間の滞在経験だけで言わせてもらうならば、落ち着いた清潔な街という印象。新興国特有のエネルギーに溢れてはいるのだが、猥雑という感じはあまりせず、全体的に落ち着いた佇まいがあった。

初めて訪れる街の印象がどこから来るかといえば、筆者が思うにそれは、看板の色使いであったり、人々が話す声のトーンであったり、匂い(時として臭い)であったり、服装であったり、運転マナーであったり。

清潔とは言っても、トイレとカウンターが一体となった路上の簡易カフェのような、われわれ日本人にとっては衛生的なのか不衛生なのか、よく分からない不思議なモノがあったりもする。

ホーチミンの壁

カウンターとトイレが一体?になった簡易カフェ。奥に見える扉2つは物置スペースではなくトイレ。換気扇まで付いているようだが・・・
そんなことを考えつつ、車の中からバイクの群れを見ていて、ふと、これだけ沢山の若い人がバイクに乗っているのだから、中にはやんちゃをするというか、「とがっている」連中がいやしないのだろうか~と思ったのだが、どうもいないようである。社会主義国家だったがゆえ、社会に唾する暴走族のような輩はすぐにお縄になってしまうのだろうか・・・と、その時あるものが目に入ってきた。壁の落書きである。
その後も壁に注目していると、市内のところどころ、壁に落書きがされている。殆どが単色のスプレーで書かれた文字。ベトナム語はラテン文字を使うからか、字体はどこかで見たようなストリート系な感じ。大がかりな落書きはなく、絵は殆ど見なかった。こう言っては何だが、ワルぶった中高生のいたずらレベル。

ホーチミンの壁
字体には一応のスタイルがあるようだ。

ホーチミンの壁
サイケ文字も。

とすると、やっぱり悪ガキ連中の仕業じゃないか。さっそく通訳のメジロさんに聞くと「(そんなのは)いませんよ」とのこと。「じゃあ、メジロさんは落書きをどう思う?」と聞いたところ、彼女は落書きを非常にポジティブなものとして評価していて、アートの一種だと言わんばかりの評価をしていた。彼女は国立大学で外国語を学ぶ学生さんなのでベトナム人の平均像とは言えないかもしれないが、そういう受け止め方をする事に新鮮な驚きを感じた。
そんな会話の折、車中から壁ばかり見ていると、電話番号らしき落書き?があちこちに書いてあることに気がついた。何か特定の業者の電話番号かなと思ったのだが、よそ様の壁に勝手に書くなんて逆に商売上の信用を無くすのではないか。そこで確認したところ、営業目的というのは正解だったけど、何と解体業者の電話番号だった。要は、こちらの建物を壊す時は是非ご用命を、という事だ。そう聞くと、なんだかその壁が古く見えてくるから不思議だ。
落書きと解体業者の電話番号に共通するのは、昔電話ボックスによく貼られていたピンクチラシのようにびっしりと溢れているのではなく、適度にポツンポツンと存在していること。そんなところもベトナムっぽいなと思った。
ホーチミンの壁

幼稚園などの子供向け施設があるところは、看板が読めずとも壁のペインティングを見ればすぐに分かる。
車やバイクを運転している人に無意識に注意させる効果があるのかなと思った。

 

ホーチミンの壁いかにも子供向けの施設だと判るペインティング。なぜか塀の壁だけがカラフルだったりする。

壁面緑化と言ったらよいのか、こんな緑化された通りもあった。手入れがお留守な感じが少し残念だったが。囲いに写真が貼られた工事現場があったり、景観を少しでも改善しようとしているのだなと感心した。
ホーチミンの壁

ほんの一区画だけ、垂直緑化。

ホーチミンの壁

工事現場の囲い。主旨はよく分からないが、世界各国の風景写真が。

そんなこんなで、壁を眺めているだけでもその場所の特徴が見えてくるものだなと思ったベトナム道中であった。

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